水島弘史さんから学ぶ料理の科学【火加減と50度の意味が分かる】

水島弘史さんから学ぶ料理の科学【火加減と50度の意味が分かる】料理
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水島弘史(みずしまひろし)さんの本を読みました。料理についてバチバチに参考になったのでメモしていきます。やはり料理は科学ですねぇ😇

参考にした本はこちら↓

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1 料理と熱の科学

まずは熱についてです。

1.1 加熱と肉の変化

加熱によるお肉の変化を見ておきましょう。

温度変化参考
50度前後筋原繊維(筋肉のタンパク質)の部分が収縮を始め、肉の表面近くにある水分が肉の外に出て行きます。
  • 味が地味が染み込みやすくなる温度帯。料理をする上で非常に重要な温度帯!
  • 水分とともにアクが出てくる。
65度前後コラーゲンが固くなり始める。コラーゲンは筋原繊維よりも固いタンパク質なので、変性に時間がかかります。タンパク質が分解されてアミノ酸(旨味)に変化する。
80度前後

コラーゲン部分がゼラチンに変性してやわらかくなり始めます。

 
180度前後

肉に焼き色がつき始めます。細胞内の糖質とタンパク質は加熱によって、メイラード反応という化学反応を起こす。

香ばしい、いい匂いが立ち上がります。

1.2 ジューシーなお肉を焼くために

初めから高温で焼くと、お肉がパサパサになってしまいます😱

『中まで火を通しながら、しかも水分を保持して柔らかい状態』を作るためには、50度前後の温度帯をゆっくりと通過させて火を通していくことが大切です。つまり、最初から弱火で加熱していきます👍

 

なぜ強火で焼くとパサパサになるかというと、急激に加熱をすると、

  • 細胞は収縮し
  • 水分は押し出される

からです。

そうなると、肉や魚は固くなってしまいます😱

 

それを避けるためには、冷たいままのフライパンを使い、弱火で加熱していくことです。こうすることで急激な温度変化を避けられるので、ジューシーな肉や魚が食べられるというわけです。

1.3 中華鍋と強火のカラクリ

中華鍋&強火でさっと炒めるのは憧れますよね。でもこれは素人では無理です😅

  • 火力を持つコンロ
  • 中華鍋
  • 中華鍋を振る技術

の3つが揃って初めて『強火で高速に炒めること』が可能です。家庭でこれを再現しようと思うと、かなり大変なのですね。

1.4 鉄板焼きのカラクリ

鉄板焼き屋さんでの調理を、家庭で再現するのも難しいです。なぜかというと、鉄板焼き屋さんの鉄板は、家庭のフライパンと違って分厚いのです。

  • お好み焼き専用→1センチ近く
  • ステーキを前提にしたお店→2センチ近く

と、非常に鉄板が分厚いです。

 

鉄板が分厚いということは、熱伝導率が低いということです。熱伝導率が低いということは、高温で焼いても肉にゆっくりと火が通るということです。家庭の薄いフライパンで強火を使うと、すぐに熱が伝わってお肉の表面だけが焦げちゃうのですね😱

1.5 野菜炒めは弱火で

野菜炒めがベチャベチャになっちゃった・・・」という経験はないでしょうか?

 

それ、中火が原因です。なぜかというと、中火で炒めちゃうと野菜の細胞壁がどんどんと壊れて、細胞壁の中の水分が出てくるからです。中途半端な中火で時間をかけて炒め続けると、べちゃっとした野菜炒めになってしまうのですね😅

 

水島シェフ流の野菜炒めの作り方↓

  1. 家庭で野菜炒めを作るときは弱火
  2. 加熱する時間はフライパンいっぱいの野菜でだいたい8〜10分
  3. ときどき野菜の上下を入れ替える(入れ替えは数回で十分)
  4. 炒めている間にまな板を洗ったり、お皿の準備をしたりすればOK

1.6 煮込む前に肉を弱火で焼く理由

「どうせ煮込んで火を通すのに、なんで最初にお肉を炒めるのだろう?」と思ったことはないでしょうか?私はあります。

 

その理由は「焼き色をつけるため」ではありません。お肉の味を抜けさせないためです。

 

初めにお肉を45〜50度の温度帯をゆっくり通過させておけば、後から長く煮込んでも、

  • 肉が固くならない
  • 味が抜けてしまうことがなくなる

というメリットがあります。

ただただお肉を長時間煮込むと、お肉の美味しさが全部スープに溶けちゃうのですね。スープは美味しくなるけれど、お肉は出がらしみたいになっちゃうと・・・😅

2 料理の塩加減について

続いて味の基本となる塩についてです。

2.1 人が美味しいと思う塩分濃度は0.8%

人は0.8%の塩分濃度を「おいしい」と感じます。0.8%の塩分というのは、「調理しおえた食材の重さに対して0.8%の重さ」ということ。

 

だから、正確に食材の重さを量り、電卓を使って0.8%の塩の量を算出することが大事です。私は勝間さんに習って、スマホに尋ねております。「ヘイSiri、150(食材の重さ)×0.008は?」という風にして、塩の分量を量っております👍

 

食材の重さ、塩の重さを量るためにキッチンスケールは必須です。

 

 

2.2 おいしいペペロンチーノの作り方

手軽にさっとできるペペロンチーノも、0.8%の塩分濃度にすることで美味しく作ることができます。つまり、パスタを0.8%の塩分濃度にしたいわけです。さて、どうやりましょうか?

 

正解は、茹でるときに1.5%の塩水で茹でるのです!なぜここで1.5%の塩水にするかというと、出来上がりのパスタの塩分濃度が0.8%になるからです。

 

100gのパスタは茹で上がりに120gの塩水を吸い込んで220gになります。つまり、220gのパスタの中に1.8g(120×0.015)の塩が含まれることになります。パスタの塩分濃度を考えると、『1.8g÷220g』で計算することができます。これを計算すると0.0082、つまりほぼ0.08%の塩分濃度のパスタができるというわけです👍

 

私的には1.5%だと少々塩辛いと感じたので、1.2%の塩水でパスタを茹でております。(たぶんパスタの種類によって水分の吸収率が変わってくるため、塩味に差が出るのだと思います。)

2.3 出汁の入れすぎは塩分過多になりがち

出汁をとると旨味成分のおかげで『おいしさがリッチ』になります。しかしここに注意点が必要でして、旨味成分が多くなるほど人間の舌は「塩」を求めてしまいます😱

 

ですから不必要に『出汁を入れすぎ』てしまうと、結果としてたくさんの塩や醤油を使ってしまう危険性があるのですね。何でもかんでも「カツオ節」「昆布」を投入して出汁を取ればいい、というわけではありません

 

そもそも旨味は食材の中にありますので、塩加減を適切にして調理すれば、素材の旨味が引き出されます。下手に出汁を使ってしまえば、素材の味を殺してしまいます😱

 

「なにか物足りない」と思えば、出汁を使う前に塩加減を見直しましょう。

3 知っておきたい料理のテクニック

ここからはちょっとした料理のテクニックについて書いていきます。

3.1 野菜の50度洗いについて

50度というのは植物にとっていわば「仮死状態」になるような温度で、これ以上温度が上がると死んでしまいます。それを防ぐために、野菜の細胞壁は固くなって身を守ろうとします。

その結果、「シャキッとする」歯ごたえになるわけです。

3.2 肉と魚のアクの取り方

50度は植物にとって『仮死状態になる温度』と言いましたが、この温度は肉や魚にも関係性がある温度です。といういうのも、50度程度から魚や肉のアクは9割がたが出てくるからです。

 

肉、魚の身を縮めないようにゆっくりこの温度帯を通過させると、固くならずに、かつ縮みを最小限におさえることができます。そうすることで、その後の調理で、

  • 肉や魚の水分が保持されジューシーに
  • かつ、味が染み込みやすくなる

というメリットがあります。

 

温度を調べるためにも温度計は必須です。

3.3 油を使った臭みの取り方

油に香りがうつりやすいという性質を利用して、ひき肉の臭みを抜く方法もあります。

  1. 冷たいフライパンにひき肉を入れて、肉の半分の高さまでサラダオイルをまわしかける。
  2. 弱火にかけて全体に色がうっすら変わってきたら、油を捨てる(油に臭いがうつっている)。
  3. 再び弱火にかけてさらに油を捨てながら炒め焼きを続ける。

こうすることで肉の臭みを消すことができます👍

3.4 火力は油の音と変化でチェック

水島シェフは弱火と弱い中火を使いこなすことで、家庭でも美味しく料理ができると言います。ちなみに、フライパンの素材や構造によって熱の伝わり方が違うので、コンロの火の大きさで『弱火』や『弱い中火』をチェックするのはダメです。

 

じゃあどうやって弱火と弱い中火の確認をするかと言いますと、フライパンに油を引き、そこに食材を入れた時の『音』と『変化』でチェックできます↓

  • 弱火の目安:食材を入れて1分前後で小さな泡が出てきて、シューッという音がしてくる。
  • 弱い中火の目安:食材を入れて30秒前後で小さな泡が出てきて、シューッという音がしてくる。

キッチンタイマーがあると便利です。

 

また、油のはじけ具合で温度を判断できます。

  • 100度超え:食材の周りに小さな泡が出始める
  • 120〜130度超え:泡が増えて弾けだす
  • 170〜180度越え:大きな泡まで出てきて、フライパンの外まで油がはねる

3.5 0.8%の塩分濃度は野菜を煮るときにも使える

人や動物、植物、すべての生物は細胞の内側と外側で常に塩分濃度を一定に保とうとしています。これを浸透圧と言います。多くの生物は浸透圧を約0.6%〜1%で構成されているので、その中間の0.8%が黄金値なわけです。

 

0.8%の塩分濃度で調理をすることで、細胞の内側と外側でバランスが釣り合い、食材は本来持っている水分やうま味を失わないで済みます。野菜を茹でる時も0.8%の塩分濃度で茹でてあげましょう👍

 

茹で野菜と浸透圧の関係↓

湯の塩分濃度<野菜の塩分濃度細胞内に水を取り込むことで、細胞内の塩分量を薄くしバランスを取ろうとする→野菜は水っぽくなり煮崩れする。
湯の塩分濃度=野菜の塩分濃度野菜の水分量は変わらない。
湯の塩分濃度>野菜の塩分濃度野菜の水分が失われる。

おわりに

塩分のコントロールしかしていませんでしたが、これからは50度をうまく使ってアク抜きやらをやっていこうと思います。理屈がわかると料理も楽しくなりますねぇ😁

それでは!

 

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