免疫を抑える制御性T細胞(Tレグ細胞)と腸内細菌の関係

腸内細菌と 免疫を抑制するTレグ細胞の関係腸内フローラを改善する
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制御性T細胞(Tレグ細胞)は、免疫の抑制に関わっている細胞です。いま、この細胞が注目されています。なぜかというと、免疫を抑えることができたらアレルギーを治せる可能性があるからです。花粉症、アトピー、ぜんそくなどは体の免疫が過剰に働いているのが原因なので、免疫をおさえることができれば症状が緩和するのですね。

 

だからこそ免疫の抑制に関与するTレグ細胞に注目が集まっています。そしてTレグ細胞は、なんと腸内細菌が関係することが分かっています!

 

ということで、今回の記事も前回の『腸内細菌がTMAという物質を作ると動脈硬化になる!?』に引き続き、『腸内フローラ10の真実』から気になったことを書いていきたいと思います。こちらの本も参考にしています↓

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1 制御性T細胞(Tレグ)の働き

Tレグ細胞が生まれる仕組みを明らかにしたのが、理化学研究所の大野博司さんです。Tレグ細胞は元をたどれば異物に攻撃を仕掛けるT細胞と同じでして、『未成熟なT細胞』が変化したものです。

 

ではどういう条件で、未成熟なT細胞はTレグ細胞になるのでしょうか。そこに腸内細菌が関係しています。

1.1 腸内細菌がつくる短鎖脂肪酸がTレグ細胞へと誘導

未成熟なT細胞がTレグ細胞には、腸内細菌が作る物質『短鎖脂肪酸』が関与しています。大野さんは、未成熟なT細胞に腸内細菌が作る物質を一つずつ入れて調べました。その結果、短鎖脂肪酸の一種である『酪酸』が、Tレグ細胞の数を増やすことを発見しました。

 

酪酸が未成熟なT細胞に働きかけ、DNAのスイッチを切り替えることで、Tレグ細胞へと分化していくのです。

  • 未成熟なT細胞は、普通に成熟するとT細胞へ
  • 未成熟なT細胞は、成長過程で酪酸が働きかけるとTレグ細胞細胞へ

 

なぜ腸内細菌が酪酸をつくり免疫を抑制させているかというと、次ような仮説があります。そもそも腸内細菌も人体にとっては部外者であり、免疫の攻撃を受ける立場です。だから免疫細胞を抑制することは、自分(腸内細菌)の生存確率を高めます。また、人間側からすると免疫の暴走が起きなくなるため、メリットがあります。そのようなわけでお互いに利益を共有できる関係に落ち着いている、という仮説です。

1.2 食物繊維を食べるとぜんそくが治る?

腸内細菌のエサである食物繊維を食べると酪酸がたくさん作られると考えられます。そうなると、Tレグ細胞が増えるので、アレルギーが改善されるのでしょうか?こんな研究があります↓

 

2014年、スイス・ローザンヌ大学研究チームは、マウスに食物繊維の多い食事を与えました。すると、マウスはぜんそくの原因となるハウスダストへのアレルギー反応が少なくなりました。詳しいメカニズムについてはまだまだ研究中ですが、腸内細菌とアレルギー反応と関係していることは間違いないと考えられています。

 

まぁアレルギー反応があるにせよないにせよ、食物繊維が不足しがちな現代生活ですからしっかりと野菜を食べていきましょう。ということで、私は野菜スープをお勧めしています👍

 

野菜スープは食物繊維の他にファイトケミカルも豊富に摂取できます。抗酸化作用でアンチエイジングなのです。

1.3 制御性T細胞を生産できないと

制御性T細胞を生産できない突然変異を持って生まれた子どもは、IPEX症候群とという致死的な病気になります。IPEX症候群とは、免疫系のバランスが傾いて、炎症を促進する免疫細胞を大量に生産し、リンパ節と脾臓を肥大化させてしまう病気です。

 

過剰に攻撃的になった細胞は自身の臓器を破壊し、患者は小児期に1型糖尿病や皮膚炎、食物アレルギー、炎症性腸疾患、難治性の下痢といった一連の自己免疫疾患とアレルギー疾患に見舞われ、そして多臓器不全で早すぎる死を迎えてしまいます。

1.4 なぜ腸内細菌が制御性T細胞に関与するのか

腸内細菌が制御性T細胞を利用するのには、自分にメリットがあるからです。なぜかというと、強すぎる免疫系は腸内細菌を殺してしまうからです。腸内細菌にとって、ヒトの免疫系は穏やかで寛容のほうがありがたいのですね。

 

腸内細菌からすると免疫系を抑えることで、自分が腸内で暮らしやすくなり、人間からすると腸内細菌が免疫系を抑えてくれることで、免疫が暴走するのを防げるというわけです。人と腸内細菌はどちらにとってもメリットがあるように、長い年月をかけ免疫系のバランスを調節してきたのですね。

1.5 無菌マウスの制御性T細胞の効力

スウェーデンのヨーテボリ大学のアグネス・ウォルド教授さんらは、腸内フローラに多様性がないと制御性T細胞はどうなるのかという疑問を解明しようとしました。

 

そこで、無菌マウスの制御性T細胞の効力を通常マウスの制御性T細胞と比較しました。すると、無菌マウスが過剰な免疫反応を抑えるためには、通常マウスと比べて膨大な数の制御性T細胞が必要になることがわかった。つまり、腸内細菌不在で育ったマウスの体内で生産される制御性T細胞の効力は、極めて低いということです。

 

別の実験では、無菌マウスに通常マウスのマイクロバイオータを加えてやると、制御性T細胞の数が増え、免疫系の過剰攻撃をなだめることができました。制御性T細胞の数は、後天的に増やすことができるのですね。

1.6 腸内細菌がだす物質が制御性T細胞に指示を与える

腸内細菌たちは、どのようにして免疫系をなだめているのでしょうか?どうやら人間にとって有用な微生物は、自分たちと免疫系だけが知っているパスワード持っているようなのです。

 

カリフォルニア工科大学のサルキス・マズマニアン教授は、バクテロイデス・フラジリスという細菌が提示するパスワードを発見しました。(この細菌は腸内細菌の中でも特に数の多さを誇っており、出生直後に腸内に入植する細菌の1つです。)

 

この細菌は、多糖類A(PSA)という物質を生産し、それを微小なカプセルに入れて細胞表面から放出します。このカプセルは大腸で免疫細胞に貪食されると、一緒に飲み込まれたPSAが制御性T細胞を起動させます。すると、制御性T細胞は他の免疫細胞に、バクテロイデス・ フラジリスを攻撃しないようメッセージを送るのです。どうして腸内細菌は免疫系の攻撃を交わしていたのです。

おわりに:野菜を食べよう

この記事では『Tレグ細胞と腸内細菌の関係』について書いてきました。ようは「腸内細菌の餌になる野菜を食べましょう!」という、いつもの話に落ち着いてしまいます笑

 

私はすっごいアレルギー持ちでした。

  • ハウスダスト
  • スギ花粉
  • イネ花粉
  • アトピー性皮膚炎

などのアレルギーを持っていました。

 

年がら年中鼻をすすっていました。そういう自分を治したい!という思いから、健康的な生活に興味を持ったわけなんですけど、食べるものを気にして腸内細菌に栄養を与える生活をしてから、だいぶアレルギーが改善されました。

 

アトピー性皮膚炎は完治しましたし、花粉症なども昔に比べればだいぶマシになったんですね。昔は花粉症の時期はティッシュを手放すことができませんでした。何度鼻の下が赤く腫れ、ヒリヒリしていたことか。よく鼻セレブさんのお世話になってました😅

 

健康面で色々と生活を変えたので、どれが直接的にアレルギーに影響を与えたのかはわかりません。たぶん全てがちょっとずつ影響を与えて、プラスになったのだと思います。

 

ということで、アレルギーでお悩みの方、

を少しずつでいいので、改善してみてください。参考までに。それでは!

 

*腸内環境の大切さを勉強するためのオススメ本

今までに多くの『腸内環境の大切を伝える本』を読んできました。その中でもイチオシなのがアランナ・コリン先生の『あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた』になります。

分厚くて少々読みにくいかもしれませんが、腸内環境の大切さを深く知っておく上で外せない一冊になります。

「もうちょっと読みやすい本を頼むぜ!」という方のためオススメできる本は、『腸科学』になります。こちらは読みやすいと思います。

どちらのほんも「腸内細菌スゲー」と思うこと間違いなしです!

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