「もっと痩せたい!」と、女性であれば誰もが思うのかもしれません。確かに太りすぎている場合は痩せた方がいいです。しかし「もう十分な体型じゃない?」と思うような方でも、「もっと痩せたい」なんて言っていたりします。
その考えは、雑誌に登場するモデルさんの悪影響ですよね・・・(しかも雑誌の多くはデジタル加工されている)。痩せ過ぎも体によくありませんし、特に女性の場合であれば痩せ過ぎは深刻な体の問題となります。
「痩せなきゃ」という強迫観念に囚われている方は、『セルフコンパッション』というものを学んだ方がいいです。セルフコンパッションを簡単に説明すると、「自分に優しくしようよ!」という概念でして、ダイエットのみならず人生に良い影響を与えると心理学で考えられています。ということで、この記事ではセルフコンパッションについて書いていきます。
*参考にした本
1 ダイエットをやりすぎる前にセルフコンパッションを学ぼう
男性と女性では美の基準が違い、女性の方が何倍も高いです。そのせいで強迫観念を持つほどに、ダイエット意識が高まっていたりします。
問題は男性の美よりも女性の美の基準の方が何倍も高いことにあり、特に体重の問題になるとそれが顕著になる。ガリガリに痩せていながらも腰がくびれていなければならないという理想像は整形手術と継続的なダイエットをしない限り達成することはできない。p171
アメリカの研究によると、
- アメリカ人女性の80%が自分の外見に対して不満を持っている
- そのうち50%以上が常にダイエットをしている
- また、小学1年生から小学3年生の女子の約50%が痩せたいと考えている
アメリカの研究なので、この結果を日本にそっくりそのまま当てはめることはできませんが、似たような状況なのではないかと思います。
1.1 度を超えるダイエット意識の弊害
ダイエット意識があまりにも強すぎ、強迫観念のようになると『摂食障害』に結びつきます。つまり、
- 拒食症:飢餓に近い状態になるまで何も食べない
- 過食症:異常な量を食べてしまう
のような状態に陥る可能性があります。一般的な摂食障害は過食です。心理学者は、過食する人たちは内なる感情の飢餓感を満たそうとしているのだと解釈しています。
1.2 自分に批判的だと食べるようになる
ダイエットの目的とは裏腹に食べすぎてしまった場合、例えば、友達との集まりで食べすぎてしまった場合、多くの人は自分を批判します。「あんなに食べる自分に失望した」と心の声は呟きます。
自分を批判したら、ダイエットに成功するのでしょうか?答えはNoです。自分を批判してダイエット成功できるのであれば、肥満の人はいなくなっているでしょう。
自己批判は無意味どころか有害に作用する場合もあります。どういうことかというと、自己批判することで、「より食べる」という矛盾した行動に走らせるのです。それが過食ですね。
食べることに対して負い目を感じているため、食べることで満足しようと言う矛盾した行動をとるようになるのである。p173
1.3 自分に優しくする方がダイエットは成功する
セルフコンパッションは自己批判とは異なり、まずは自分を『許す』ことから始まります。食べすぎてしまった場合、自分に慈悲の心を向けることで過食を防ぐことができます。
「なぜ?」と思うかもしれませんが、このような研究がこの主張を支持しています↓
- 女子大生を集めて2グループに分けて、ドーナツを食べてもらう
- そのあとで、片方のグループの女子大生は慈悲の心を向けるように次のような説明を受けた。→「誰でも甘いものを食べすぎることもありますし、この研究に参加した人はみんなドーナツを食べました。そのことについて自分を悪く思う必要はありません」
- その結果、説明を受けなかったグループで、ダイエットをしている女子大生は、罪悪感と恥を感じていることが明らかになった。
- さらにそのあと、好きなだけキャンディを食べてもよいという状況においた。
- その結果、説明を受けなかったグループのダイエットをしている女子大生は、ダイエットをしていない学生に比べてより多くのキャンディを食べることが分かった。
- 対照的に、説明を受けた女子大生グループはキャンディを食べすぎることはなかった。
というように、自己批判し、罪悪感や恥を持つ人の方が、『より多く食べる』ということが研究で分かっています。自己批判のしすぎはダイエットの天敵なのですね。
1.4 セルフコンパッションの恩恵
セルフコンパッションの度合いが高い人は、健康に対しての気持ちがセルフコンパッションの度合いが低い人と違います↓
- セルフコンパッションの度合いが高い人は、運動を義務ではなく有意義なものとして捉えている
- セルフコンパッションの度合いが高い人は低い人に比べて、自分の体型に満足している
と、セルフコンパッションの度合いが高い方が、人生を幸せに生きられます。
1.5 セルフコンパッションを高めるエクササイズ
最後に、セルフコンパッションを鍛える方法について紹介します。
- 紙と鉛筆を用意して、自分の身体に対して親切で正直な評価をする。
- まずは自分の身体の好きなところをすべて列挙する。
- 次に自分の身体のなかで不満に思っている点を列挙する。同時に不満に対して自分が公平な評価をしているかどうかに注意する。自らの欠点を過小評価してはいけないが、誇張してもいけない。
- 自分自身の不完全さに対して、慈悲の心を向ける。自分の身体に関する欠点から生まれた不満や苦しみに向き合う際、自分自身に優しさと理解を向ける。
- 最後に、自分の身体に自信を持つために実践したいことがないかどうかを考える。自分を思いやっているあなたが、自分のために変わりたい事は何でしょうか?思いつくことがあれば、それを実践してみる。自己批判的な方法でやる気にさせるのではなく、優しさで自分をやる気にさせるように意識する。
おわりに
もっと詳しくセルフコンパッションを学びたい方は、冒頭に紹介したセルフコンパッションの先駆者、クリスティーン・ネフ先生の本をお読みください。なかなか読みづらい本だとは思いますが、読む価値は大いにあるかと。それでは!
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