人工知能を組み合わせて分かったうつ病のこと

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うつ病ってバイオマーカーがないから診断って難しいんです。

バイオマーカーとは体を知るための指標みたいなもので、有名どころでゆうと糖尿病の診断ではHbA1cがバイオマーカーとなっています。これが高すぎると糖尿病かも、って判断できるわけですな。(CTやMRIなどの画像検査から得られる情報もバイオマーカーに含まれます)

んで、そのバイオマーカーはうつ病では分かっておりません。なぜかというと、『脳のことがよく分かってない』し、『脳のサンプルをそう簡単には採取できない』からです。

うつ病を診断するために、そうやすやすと「脳をパカッとするでー!」なんて無理ですからね。

そんな診断するのが難しいうつ病なのですが、人工知能のおかげでわかってきたこともあります。ということを『脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか』という本から学んだのでメモ。

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人間には分からないうつ病の特徴を人工知能が見つける

バイオマーカーを見つけるために、人工知能とビッグデータが活用されています。

うつ病患者と健康な人の脳の画像を大量に人工知能に読み込ませることで、人間では見つけられないうつ病の特徴を、人工知能は見つけられるのです。

それで、うつ病の患者だけに見られて、健康な人には見られない特徴が発見できれば、それをバイオマーカーとして利用できると言うわけです。

実際、ある研究では脳画像からうつ病かどうかを約70%の精度で診断できたとのことです。

実際に、人工知能により、うつ病の患者を高い確率で診断できたと言う研究があります。この研究では、うつ病患者と健康な人をそれぞれ数百人ずつ集め、安静時の脳のfMRIを撮り、そのデータを人工知能に学習させました。すると、うつ病の患者では特定の脳領域どうしが非常に強く同期活動していたり、逆に本来は同期活動すべき脳領域がどうしがバラバラに活動していたりと、健康な人では見られない異常が見られました。そこで、その異常な活動をうつ病のバイオマーカーとして利用することで、ある人がうつ病かどうかを約70%の精度で診断できたとのことです。

p141

「人でもできるんちゃう?」と素人ながらには若干考えたりもしますが、熟練した精神科医でさえ脳画像のみからは判断できません。人工知能すごいんです。

で、このような研究は日本は他国より優位です。なぜかというと、CT、MRI機器の数が、人口あたりめちゃくちゃ多いからです。世界一なんです!(無駄にCTやMRIを使うから医療費が高くなっているという問題があったりしますが、プラスに考えればうつ病研究で世界をリードできるポテンシャルがあるのです。)

落ち込んでいるときに脳に電気刺激を加えることでうつ気分が改善

こんな研究もあります。

アメリカのカリフォルニア大学サンフランシス校のエドワード・チャン先生らのチームによる研究です。

重症のうつ病患者に手術を行い複数の脳領域に電極を埋め込み、埋め込まれた電極で10日間持続的に脳活動を記録しました。

その記録を元に、「このような脳活動のときには患者がこういう気分である」という関係性を人工知能に学習させました。つまり、人工知能は「脳活動から患者の気分を推定できる」ようになりました。

さらにこの研究では一歩先へ進み、「患者の気分が落ち込んでいるときに脳を電気刺激すれば、うつ気分が改善する」という仮説を立て、患者に電気刺激を行いました。

その結果…

適切なタイミングで脳を電気刺激することにより、患者のうつ気分を改善することができました!

すごすぎる…。人工知能とうつ病の研究の組み合わせがすごすぎますわ。

で、この研究では、脳の中でも特にどの領域を刺激すればよいのかまで調べています。その結果、右脳の腹側内包・腹側線条体という領域を刺激し、それにより右脳の扁桃体という領域の活動が変化することが、うつ気分の改善に極めて重要であることが明らかとなりました。
(まだ1人の患者を対象としたものということに注意必要)

このような研究は、うつ病以外にも役立つ可能性があります。

そして、「脳活動からその人の状態を判定し、その結果に応じて脳を刺激することで症状を緩和する」という手法は後で原理的にはうつ病だけでなくパーキンソン病や統合失調症など、様々な神経・精神疾患の治療に応用することが可能です。

p241

可能性がすごい。人工知能すごい。

ってなことが色々と書かれている本なので、とてもおもしろいです。興味がある方はぜひ!

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