歯医者さんの知識をもっと得るべく、以下の歯科系の本を読みました。
- やってはいけない歯科治療
- こんな歯医者に行ってはいけない
というわけで、この記事では本から学んだことをメモがてら書いていきます。
今日の歯科医療が抱えている構造的な問題
現在、歯科医が抱えている問題があります。それが何かというと、
「時間をかけてしっかりと患者さんの治療にあたっても、その時間は評価されない」
ということです。
ようは歯科医院を経営しようと思ったら、「短い時間で患者さんを回していかないと儲けが出ない」という構造になっているのです。では、短い時間できちんとした治療ができるのか?というと、そりゃできるスーパー歯科医もいるでしょうが、基本的には無理です。
誰もが安く病院に通える国民皆保険は素晴らしい制度なのですが、このような構造上のデメリットも生み出しております。歯科治療の問題は、歯医者さんだけの問題ではないのです。
待合室にたくさん人がいる歯医者は腕がいいから人が集まっている、わけではない
混んでる飲食店っておいしそうですよね。「少々待ってもあの味を楽しみたいんや!」という人が多いから『混んでる』と判断しちゃいますよね。
その考えを歯医者にも当てはめていいのでしょうか?
ダメです。
歯医者は基本的に予約制です。予約制ということは、待合室が混むなんてことは普通はあり得ません。
では予約制なのに待合室が混んでる歯医者はどういうことなのでしょうか?
それは、『同じ時間帯に患者さんを詰め込み、短い時間でガンガン治療する』という儲け主義に走っている歯科医、という可能性が高いです。
というわけで、予約制なのに待合室が混んでて、いざ自分の番になったらあんまり話を聞かれずに治療をパパッとやられてしまうような歯医者さんであれば、違う歯医者さんにしたほうがいいでしょう。
コンポジットレジンを使う歯医者はいい歯医者
コンポジットレジンとは、白い樹脂製のプラスチック材料です。これを使ってくれる歯医者さんはいい歯医者さんである可能性が高いです。
コンポジットレジンは銀歯には強度は劣りますが、歯に接着させやすいため『二次カリエス』になりにくいという大きなメリットがあります。二次カリエスとは、いちど治療した歯と詰め物の間に虫歯ができることです。
また、コンポジットレジンは虫歯を削った穴に埋めて、光を当てて固めるだけなので治療が1回で終わります。患者側としたら1回で治療が終わりなんてありがたい限りです。
しかし、歯医者側としたら、1回で治療が終わる…つまり、儲けがあまり出ません。さらにコンポジットレジンは1回の治療が30分以上は必要になるので、『多くの患者をガンガン回せば儲かるんや!』という儲け主義の歯医者からすると微妙な選択です。
というわけで、コンポジットレジンを使ってくれる歯医者さんは、患者さんのことを考えているいい歯医者さんである可能性が高いのです。
ちなみに銀歯ですと、治療が複数回になり儲けが出る、そして歯医者は削って型取りをするだけで15分ほどの短い時間で患者を回せます。(銀歯作成歯歯科技工士に任せる部分が多いから)
それと、知識が追いついていない歯医者さんは「レジンは欠けるし割れるしで、耐久性がない!」と昔の知識のままだったりします。昔のレジンはそういう欠点は確かにありました。しかし、現在のレジンは飛躍的に性能が上がっているので耐久性に問題はありません。
加えて、確かに数値上は銀歯やセラミックの方が材質的には安定しており、硬度は高いです。ですが実際の口の中での耐久性を比較した研究によると、銀歯とレジンの差はほとんどないことが分かっています。
型取りをやり直しする歯医者はいい歯医者
深く大きな虫歯ですと、さすがにレジンは使えません。銀歯などにする必要があります。その時に必要になってくるのが型取り。型取りをしたデータを渡し、歯科技工士さんに銀歯などの補綴物(ほてつぶつ)を作ってもらいます。
で、できた補綴物を歯にはめようとしたら、うまくはまらないこともあります。「型取りをやり直す」という判断をもらったことがある人もいるかもしれません。
型取りしてまた補綴物を作る…ということは、また通院しなければなりません。めんどくさいですよね。
型取りからやり直すということは、腕が悪い歯医者さんなのでしょうか?そうとも言い切れません。歯科技工士さんが作成した補綴物に欠陥があったかもしれないからです。だから「やり直し」という判断をする歯科医は、「ダメなものはダメ」ときちんと判断できる歯科医なのです。
仮にできるの悪い補綴物をはめたとしましょう。そうすると隙間から虫歯菌が入り、また虫歯になる可能性が増えます。噛み合わせなどの問題も生じるかもしれません。
ですから「もう一度型取りからやりましょう」と判断をする歯科医は、患者に不信感を抱かれるリスクを冒してでも、『きちんとした補綴物を患者さんのために』という思いからやってくれているのです。
本当に悪い歯科医は、出来の悪い補綴物と知りながら使う歯科医です。それで虫歯になり、また治療しに来てもらえたら利益が増えます。
詰め物で使うセメントの種類
詰め物をするときに使うセメントは、大きく分けて2種類あります。
- 合着セメント:歯と詰め物の間の摩擦力で詰め物が外れないようにしているだけで、歯と詰め物はくっついていません。
- 接着セメント:歯と詰め物の双方に、文字通りに接着して詰め物を固定しています。こちらの方が耐久性も高く、詰め物の下に虫歯菌も入りにくく、詰め物も長持ちします。
本来ならすべて耐久力が高く、詰め物の下に虫歯ができづらい接着セメントで固定すべきです。しかし、ここに歯科医の経営が絡んでくるとややこしくなります。
というのも、接着セメントの方が高いからです。保険診療で行う銀歯に対して、接着セメントを使用すると利益がほとんどなくなるため、使用しない歯科医院も多かったりします。
また接着セメントは詰め物と歯の両方に薬品を塗り、化学処理を施す手間が必要です。手間がかかるということは、患者の回転数を上げたい歯科医院からすると使いたくないセメントということです。
というわけで、15分ほどの診療でパパッと済ませて儲けたい歯科医院では、少しの手間すら惜しいので、保険診療には合着セメントを使用するのです。
銀歯は終わりへの始まりかも
銀歯だ…もう手遅れかも…
みたいなイメージってありませよね。「口を開けると銀歯が見えて恥ずかしいなぁ」くらいなもんだと思います。
でも、銀歯ができるような深い虫歯ができてしまうと、歯の終わりへの始まりかもしれないのです。
なぜかというと、永遠に持つ詰め物などないからです。経年劣化で外れるか、歯と詰め物の間から虫歯菌が入って虫歯が再発します。(人間にとっては見えないような隙間でも、菌からしたらめっちゃ広い隙間)
虫歯が再発すると、さらに奥深くまで削らなければなりません。銀歯→再発の負のスパイラルを2、3度繰り返すと、歯の奥にある神経も虫歯菌に感染してしまいます。
となると、感染した神経をとってやらなくてはいけません。(根幹治療)
歯がなくなると…歯に栄養が届かなくなり、歯の耐久性は弱まります。歯が折れたり、抜けたりする可能性が出てくるということです。。つまり、歯がなくなる可能性が高くなるのです。
また、神経がないということは、異常の察知もできなくなります。歯の周辺がまた菌に感染しても、痛みを感じないため気づけません。ということは、菌がどんどん増殖して広がりまくって、ようやく気がつけるようになるということです。
歯の治療を繰り返し神経を抜くことになると、このような恐ろしいことが待っているかもしれません。歯磨き、フロス、定期検診、きちんとしましょう。
歯科医の感染症対策
『歯削る機器 7割使い回し』
こんな記事が、 2014年5月18日の読売新聞の記事に掲載されました。
国立感染症研究所などの研究班の調査によると、歯を削る医療機器を滅菌せずに使い回している歯科医療機関が、約7割に上る可能性があることがわかりました。
怖いですよね…。
また、ハンドピースという機器を滅菌するためには、ヨーロッパ規格のクラスBというオートクレーブが必要です。しかし、日本の大半の歯科医院で使用しているオートクレーブは、クラスNです。クラスNだとハンドピースを滅菌できません。
つまり、「滅菌している」と答えている歯医者でも、オートクレーブがクラスNなので滅菌できていない可能性があるのです。
怖いですよね…。
ではどうやって感染症対策をバッチリしている歯医者さんを見つけたらいいのでしょうか?
『外来環(歯科外来診療環境体制加算)』の掲示がある歯医者は、厚生労働省の院内感染対策の基準を満たしています。ちなみに、外来環は2008年から始まったのですが、10年経っても歯科医院の全体の2割弱しかないようです。
以上、本を読んで気になったところのメモでした。歯はめちゃくちゃ大事ですので、歯医者を適当に選ぶ前にとりあえずこの本を読んでおくことをオススメします。
参考までに。それでは!
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