この記事では糖尿病について学んだことをまとめていきます。新しい知識が手に入り次第、随時更新していきます。
目次から、気になるところだけを読んでもらえたらと思います。
高血糖が体に悪い理由
ご飯を食べると、ご飯に含まれる糖分が吸収され血液中に糖の量が増えます。血糖値はだいたい80〜110mg/dlです。健康な方でも食後に200mg/dlまで上昇する人もいます。(ジュースなんかを飲むと特に)
血糖値が正常値に下がればいいのですが、正常値を超えて高血糖なままだと体に害を及ぼします。
高血糖の害は、
- 酸化
- 糖化
の2つがあります。
*酸化の説明↓
高血糖状態が続くと血液中に糖があふれ、あふれた糖は血管内の最内腔(さいないくう)を構成する内皮細胞に入り込むようになり、その際に活性酸素が発生して、内皮細胞を攻撃して「酸化(細胞の劣化)」させます。
血管の細胞が酸化し続け血管がダメージを受け続けると、動脈硬化などが起こり、老化が早まります。また、血管だけでなく全身の正常な細胞やDNAが酸化すると、酸化した細胞は本来の機能を失い、老化が早まります。
>酸化やフリーラジカルの意味とは?なぜ体に炎症を起こすようになるのか!?
*糖化の説明↓
高血糖により、糖は内皮細胞内のタンパク質と結合することもあります。この現象を「糖化」と言います。糖化は細胞の機能を変えてしまうため、様々な臓器の機能低下をもたらすことにつながります。
>老化を防ぎたいならAGEs(終末糖化産物)を減らすしかない
糖尿病は血液検査で早期発見できる
糖尿病は血液検査で早期発見することができます。早めの対策が肝心です。
糖尿病は血液検査で早期発見できます。空腹時血糖値が126mg/dL以上、または随時血糖値が200mg/dL以上で、さらにHbA1c(ヘモグロビン エーワンシー) が6.5%以上の場合、一度の血液検査で糖尿病と診断されます。HbA1cは過去1〜2か月の血糖値の平均を反映する値です。
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1042.html
糖尿病の種類
糖尿病には4つの種類があります。
1型糖尿病
膵臓にあるβ細胞が破壊されてインスリンを分泌できなくなって発症するのが、1型糖尿病です。今のところ、予防策がありません。
1型糖尿病には、
- 特発性タイプ
- 自己免疫性タイプ
の2つに分けられます。
前者は原因不明、後者は異常な自己免疫反応によってβ細胞が破壊されることが原因です。
1型糖尿病は遺伝的要素に、何らかの引き金があって起こると考えられています。よく言われているのが「ウィルス説」で、風邪のようなありふれたウィルスの感染をきっかけに、風邪が治った後しばらくして発症します。
2型糖尿病
膵臓が機能していても、インスリンの作用不足で発症するのが2型糖尿病です。
2型糖尿病にも2つに分けられます。
- インスリンの分泌が減っているタイプ(インスリン分泌不全)
- インスリンは分泌されていても効きが悪いタイプ(インスリン抵抗性)
の2つがありますが、両方のタイプも方もいます。
インスリンが出ないと血糖値が下げられませんし、インスリンの効きが悪いとやはり血糖値を下げられません。
日本人の糖尿病のほとんどは2型糖尿病で、患者さんの約95%を占めます。
妊娠糖尿病
妊娠を契機に発症するのが妊娠糖尿病で、多くは出産後には治まります。しかし、なかには本格的な糖尿病に移行する人もいます。
発症する仕組みは、胎児に多くの糖を供給しようとして、胎盤からインスリン抵抗性を増すホルモンが分泌されるからではないかと言われています。
その他の原因による糖尿病
病気や、その病気を治療する薬剤の副作用が原因で糖尿病が発症する場合もあります。
糖尿病は遺伝傾向があるが環境も関係している
糖尿病は遺伝傾向があります。しかし食生活などの影響も大きいです。
糖尿病(2型)は明らかに遺伝傾向があります。しかし、すべてが遺伝で決まるわけではなく環境因子も関与しています。例えば両親の双方が糖尿病である場合、その子においては65歳までに40~50%の確率で糖尿病を発症し、これは一般の集団の約5倍であるという報告があります。
http://furukawanaika.com/faq/親が糖尿病なら遺伝しますか?/
また、糖尿病(2型)の発症については55%が遺伝45%が環境因子で決まるとの報告もあります。
また、糖尿病は単一の遺伝子で決定する病気ではありません(極めて稀な場合にはそのような遺伝子もあるけど)。
糖尿病は複数の遺伝子の異常が組み合わさることで起こる多因子遺伝病です。
糖尿病の治療ターゲットの変遷
糖尿病の知見がたまるにつれて、糖尿病の治療への考え方が変わっていきました。それを教えてくれたのが、堀江貴文さんの『糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた』という本です。
膵臓と糖尿病の関係性が分かったのは1889年です。 ドイツの内科医オスカー・ミンコフスキーとヨーゼフ・メイリングは、膵臓を摘出した犬が多尿になることに気づき、その尿に糖が含まれていることを発見しました。ここから膵臓と糖尿病の関係が分かりました。
1921年、カナダの整形外科医フレデリック・バンティングと医学生のチャールズ・ベストがインスリンを発見し、翌年には1型糖尿病の患者さんにインスリンを投与する治療が初めて行われました。患者さんは劇的に改善し、インスリンの発見は画期的なものとなり、バンディングはノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
インスリンにより患者さんの命は伸びましたが、それにより三代合併症という新たな問題も生まれてきました。
- 糖尿病神経障害
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病性腎症
です。
いずれも高血糖が続くことにより、細い血管の障害が原因で起こります。
1980年代にインスリン製剤が改良され、さらに血糖が下げられるようになりました。それで糖尿病網膜症で失明する人は少なくなり、糖尿病性腎症の人は透析をすれば生きられるようになりました。
1980年代に医学生だった人たちは、糖尿病を『血管の病気』と習っていたそうです。
2009年になると、糖尿病治療の常識を一変させる治療薬『DPP-4阻害薬』が登場します。
食事を摂ると、腸はインクレチンというホルモンを分泌します。インクレチンには、
小腸上部から分泌されるGIP
小腸下部から分泌されるGLP-1
の2種類があります。
そのうちGLP-1は、膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促したり、脳に作用して食欲を抑制したり、脂肪細胞に働いて脂肪を燃焼させたりする働きがあるため、糖尿病にはいいことばかりです。
しかし、GLP-1は腸と腎臓にあるDPP-4という酵素によって分解され、活性が失われます。DPP-4阻害薬は、DPP-4による分解を抑えることで、GLP-1のインスリンの分泌を促すという働きを持続化させる治療薬なのです。
DPP-4阻害薬は血糖値を下げる効果が高く、また副作用も少なく安全に使用できることから、日本の医療市場を席巻します。
ここで、GLP-1は腸から分泌されることから、糖尿病は『腸の病気』ではないかと考えられるようになりました。
2010年には、『GLP-1受容体作動薬』が登場します。GLP-1受容体作動薬は、GLP-1の類似物質で、GLP-1と違いすぐには分解されません。また、GLP-1受容体作動薬は空腹時には働かず、食後の血糖値が高くなった時から働くため、低血糖を起こしにくいというメリットもあります。
そして2014年、上記の治療薬を上回る治療効果をあげる薬が登場します。SGLT2阻害薬です。
SGLT2阻害薬は腎臓に作用して、尿から糖の排出を促して血糖値を下げる働きがあります。ここから、糖尿病は『腎臓の病気』ではないかと考えられるようになりました。
(SGLTは1〜7まであり、腎臓にのみあるのがSGLT2です。SGLT2は尿糖の再吸収のトランスポーターとしての働きがあり、SGLT2阻害薬はその輸送の働きを阻害するものです。)
お医者さんの中では、『糖尿病が悪化して腎臓が悪くなると、かえって糖尿病が良くなる』ということが観察されていたそうです。いままでその理由は分かりませんでしたが、SGLT2阻害薬の作用から考えると、『腎臓の頑張りすぎが糖尿病の原因ではないか』と考えられたりもしています。
ちなみに、堀江貴文さんはSGLT2阻害薬を服用しているそうです。糖尿病というわけではなく、予防を目的としてです。(実費で)
僕は大好物の寿司を食べに行く前など、体重の増加防止のためにSGLT2阻害薬を必ず飲んでいる。p67
以上、糖尿病の治療ターゲットの変遷でしたー。まぁ、膵臓も血管も腸も腎臓も全部大事なので、「腎臓だけ守っとけばいい!」みたいな極端な考え方にはならないように。あくまで糖尿病治療のターゲットの話なので。
*腎臓の関連記事↓
>腎臓がもっともメッセージを出し合う臓器!?NHKのテレビを見て
パレオな男さんから学ぶ糖尿病の知識
みんな大好きパレオさんから糖尿病の知識を学んだことをまとめていきます。
お肉と糖尿病は関係ある?
糖尿病とお肉は関係あるのでしょうか?そんなことをパレオさんが記事にしてくれております。
で、結論から言うと、
とりあえず肉と糖尿病の関連にはさほどの根拠はないので、まずは太り過ぎのを気にするのが先決かと思われますねー。
https://yuchrszk.blogspot.com/2015/08/5.html
とのこと。
まぁいつも通りの結論なんですが、
- 鶏肉
- 魚
をメインのタンパク源にして、赤身肉の牛や豚は少なめにしていくのが吉です。
糖尿病の改善はとにかくカロリー制限
糖尿病を改善するにはどうしたら?ということについても、パレオさんの知見を拝借しましょう。
結論から言うと、『カロリー制限&カロリーの質』です。ようは食べ過ぎをやめて、加工食品を避けようというお馴染みの結論です。
糖尿病の改善には、とにもかくにもカロリーの質が超大事!
https://yuchrszk.blogspot.com/2016/11/vs.html
どんな食事でもいいから炎症対策に気を配る!
いずれにせよ、「糖尿病には体脂肪を減らすのが超大事」ってのは、他のデータでもかなり確立された事実(6)。現時点では、特定のダイエットにこだわらず、自分が手をつけやすいメソッドを選ぶのが良いかと思いますねー。
https://yuchrszk.blogspot.com/2016/11/blog-post_1.html
ランセットに掲載された論文ですと、3〜5ヶ月の間は1日825〜853kcalで過ごさたら、患者さんの86%が平均で15kgの減量に成功し、糖尿病がほとんど完治したそうです。めっちゃきついけど、効果がすごい。それを受けてパレオさんはこう言っています↓
ただ、この実験は白人しか対象にしてないので、アジア人にどこまで適応できるかはわからないところはご注意ください。ただ、いったん糖尿病になっちゃった方は、極端なカロリー制限を選択肢のひとつに入れてもいいのではないかと思う次第です。どうぞよしなに。
https://yuchrszk.blogspot.com/2018/01/86.html
1日825〜853kcalは超きついですけど、やる価値はあるかもですね。
ジュースと糖尿病の関係性
糖分たっぷりのジュースが体に悪いのは当たり前ですが、じゃあどれくらいやばいのか?ってのが気になったりします。
1日に400mlのソフトドリンクで糖尿病の発症率が2.4倍に!
https://yuchrszk.blogspot.com/2017/01/1400ml.html
1日に1000mlのソフトドリンクで糖尿病の発症率が10.5倍に!
やっぱりやばいです。毎日ペットボトルでジュース飲んでる人は、いますぐやめた方がいいですね。マジで。
マウスウォッシュを1日に2回以上する人は糖尿病リスク55%増
抗生物質はいい菌も悪い菌も殺しちゃうから、腸内環境的によくないって言うのは有名な話ですね。
それと同じように、マウスウォッシュをやっちゃうと、口の中のいい菌も悪い菌も殺してしまいます。じゃあそれはどんな悪影響があるのかと言いますと…↓
マウスウォッシュを使わない人にくらべて、マウスウォッシュを1日に2回以上使う人は、糖尿病の発症リスクが55%あがる
https://yuchrszk.blogspot.com/2018/01/blog-post_35.html
びっくりするくらいに糖尿病の発症リスクが上がってしまいます。(太り気味の男女1206人を対象にした観察研究です)
マウスウォッシュで、硝酸塩を亜硝酸塩に変える菌が死ぬから、糖尿病の発症につながると研究者は考えているそうです。(亜硝酸塩が口の中から消化器官に送り込まれると、亜硝酸塩は一酸化窒素に変換されます。一酸化窒素は代謝をコントロールする物質で、インスリンレベルにも影響があります。)
腸内環境だけでなく、口腔環境も大切なのですな。
魚は健康にいいけど、フライはダメ
魚は健康にいいです。タンパク源として魚は積極的に食べたいところ。
でも…フライの魚はダメです。むしろ健康には悪いかもしれません。
いろんな変数を調整すると、全体の魚の消費量は糖尿病の発症リスクとは関係がない。
https://yuchrszk.blogspot.com/2017/03/blog-post_63.html
ところが、月に6回ほど揚げ物の魚を食べた場合は、月1回以下の人にくらべて糖尿病リスクが16%アップする
油で揚げるとカロリーが増えますし、「その油ってトランス脂肪酸たっぷりの質の低い油じゃない?」という問題もありますし。
というわけで、魚を食べるなら『フライ以外で!』を基本としていきましょう。
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