人間はなぜ腸内細菌と共生することを選んだのか?

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人間はなぜ腸内細菌と共生することを選んだのでしょうか?腸内細菌が食物繊維を分解しなくても、人間自身が食物繊維を分解できるような遺伝子を獲得すれば、わざわざ腸内に細菌を住ませる必要はありません。

 

腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸が体に良いのであれば、人間自身が短鎖脂肪酸を体内で作れるような遺伝子を獲得すればいいだけのことです。なぜ人間は短鎖脂肪酸を作れるように進化しなかったのでしょうか?

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アウトソーシングしたほうがコスパが良い

人間が腸内細菌と共進化を選んだ理由は、コスパという面が考えられます。仮に、腸内細菌がもたらすメリットのすべてのものを、人間自身の体内で作ろうとしたと考えます。

 

そうすると、どんどん遺伝子を増やさなければなりません。つまりどんどん遺伝子が複雑になっていくということです。複雑になるということはそれを維持するためのエネルギーも必要ですし、複雑ゆえにエラーも起こりやすくなります。ですから、腸内細菌に仕事をアウトソーシングしたほうが、いろいろとコスパが良いのですね。

 

また人間は進化の過程で、遺伝子を減らしていくという戦略もとったりしています。たとえばビタミンCです。ビタミンCは生きていくために必要な栄養素ですが、人間は自分の体内でビタミンCを合成できません。他の動物の多くは、体内でビタミンCを合成できるのにです。

 

人間の祖先もビタミンCを体内で合成できていただろうと考えられています。しかし、進化の過程で、ビタミンCを合成する能力を捨てるという選択を取りました。その理由は、「ビタミンCを作ることにエネルギーを使うよりは、〇〇にエネルギーを使った方が生存に有利」だったからです。

 

かつての人間はビタミンCが豊富な野菜や果物がたくさんある環境で長い間過ごしていたため、体内には十分すぎるほどのビタミンCがありました。だからビタミンCを合成する必要がなくなり、なんならビタミンC合成に余計なエネルギーを使うのはもったいなかったのです。そのため、人間はビタミンCを合成する遺伝子を捨ててしまったというわけです。言い方を変えれば、ビタミンCは野菜や果物の遺伝子に任せたということですね。

 

このように、生物は生存に必要なものをすべて自分の遺伝子で賄うという戦略ではなく、他の生物に任せられるなら任せるという戦略をとって進化してきました。腸内細菌にできることは腸内細菌に任せることを選び、共生という道を選んだのですね。

腸内細菌の方が環境の変化の対応が速い

腸内細菌の遺伝子を利用することには、コスパという面だけでなく「変化への対応の速さ」というメリットもあります。

 

たとえば、環境の変化に適応するために新しい遺伝子を獲得するためには、「速さ」が重要です。なぜなら環境に適応できなければ、その生物には死が待っているからです。

 

人間は寿命が長いため、世代交代で新しい遺伝子を獲得しようと思ったら長い年月がかかります。このため、環境への適応は生物の中でもダントツで遅いです。

 

しかし細菌は世代交代が早く、環境にも適応しやすいです。また、遺伝子の獲得方法も人間と違い、簡単に遺伝子が書き変わる性質を持っています。ですから新しい遺伝子を獲得するスピードは、人間とは全然違います。人間なら何百年もかかるようなことでも、細菌なら1日でできたりするのですね。

 

というわけで、急激な環境変化に対応するためにも、腸内細菌をお腹で飼っておくことはメリットがあるのですね。異国の地に行っても、そこの食事に順応できるのは腸内細菌のおかげかもしれません。

 

参考までに。それでは!

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