どうやら腸内細菌は動脈硬化にも関係があることが分かってきました。健康上の問題の様々なところで腸内細菌は関係しているようです😅
今回の記事も前回の『肥満になるとがんを引き起こす腸内細菌が増加!?』に引き続き、『腸内フローラ10の真実』から気になったことを書いていきたいと思います。
1 謎の動脈硬化と腸内細菌
動脈硬化と聞いて真っ先に思い浮かべるのが『コレステロール』や『中性脂肪』だと思います。ちょっと詳しい人なら、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールの数値が上がり、血管にコレステロールがへばりつくのが動脈硬化の原因だと考えるかもしれません。
しかし、動脈硬化の中に『謎の動脈硬化』として恐れられているものがあります。なぜ謎かというと、コレステロールと中性脂肪の値が高くないのに動脈硬化が進んでしまうからです。
そしてその原因が2011年にネイチャーにて発表された『アメリカ・クリーブランド病院の研究』で明らかになりました。どうやら謎の動脈硬化には腸内細菌が作る物質が関係しているみたいなのです。
1.1 メタボローム解析で分かったこと
メタボローム解析と呼ばれる手法で、血液中に含まれる2000以上の物質の量を調べ、どんな物質があると心臓病になりやすいのかの関係を調べました。その結果、TMAOという物質が血液中に多い人は、心臓病になりやすいことが明らかになりました。
1.2 TMAOはどこで作られる?
TMAOが多いと心臓病になりやすいことがわかりました。次に調べたいことは、TMAOが体のどこでたくさん作られているか?です。
その結果、TMAOは肝臓でTMAという物質が変化して作られることがわかりました(肝臓でFMO酵素によりTMAOへと代謝される)。じゃあTMAはどこから来たのかというと、腸内細菌が作り出していました。
1.3 腸内細菌がレシチンからTMAヘ変換
レシチンという栄養素を腸内細菌が分解してTMAを作ります。そしてTMAが腸内から吸収され肝臓へ行き、そこでTMAOに変化します。
少し健康に詳しい人は知っているでしょうが、レシチンは体に必要な栄養素です。サプリメントとして売られていたりもするんですね。ちなみに、卵や、お肉、牛乳や大豆などにレシチンは豊富に含まれています。ですから決してレシチンは体に悪い物質ではありません。
1.4 レシチンをマウスに与えると
レシチンが心臓病に関係があると分かったので、レシチンをマウスに投与し実験してみました。すると普通の食事をさせたマウスより、レシチンを与えたマウスは明らかに動脈硬化が悪化したのです。そして注目すべきは、マウスのコレステロールや中性脂肪には異常が見られなかったことです。これが謎の動脈硬化の原因でした。
また、マウスに抗生物質を与えて腸内細菌を殺してから同じ実験を行いました。すると、レシチンを食べても動脈硬化が悪化しないこともわかりました。つまり、レシチンと腸内細菌には密接な関係があることが明らかになりました。
1.5 レシチンは取らない方がいいのか?
ここまでの話を聞いたら「レシチンは取らない方がいいんじゃ・・・」と思うのも無理はありません。しかし、先ほども書きましたが、レシチンは体に必要なものです。これは『量』の問題です。レシチンは体に必要だけど、摂りすぎは良くないってことですね。
そしてこれはまだ明らかになってはいませんが、腸内細菌を整えることでTMAの量が減らせるらしいのです。食生活を正しくし、腸内細菌を多様にし、TMAを作る腸内細菌ばかりにしなければOKということですね。
おわりに
この記事では『動脈硬化と腸内細菌の関係性』について書いてきました。なかなか面白いですよね。腸内細菌系の本を読めば読むほど、腸内細菌の重要性を感じます👍
糖尿病しかりアルツハイマーしかり、アレルギーなどなど、現代人が抱える病気のほとんどに腸内細菌って関係してくるみたいですね。やはり人間とともに共進化してきたんですね〜。ということで、腸内細菌をいたわる食事をしていきましょう。参考までに。それでは!
*腸内環境の大切さを勉強するためのオススメ本
今までに多くの『腸内環境の大切を伝える本』を読んできました。その中でもイチオシなのがアランナ・コリン先生の『あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた』になります。
分厚くて少々読みにくいかもしれませんが、腸内環境の大切さを深く知っておく上で外せない一冊になります。
「もうちょっと読みやすい本を頼むぜ!」という方のためオススメできる本は、『腸科学』になります。こちらは読みやすいと思います。
どちらのほんも「腸内細菌スゲー」と思うこと間違いなしです!
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