細菌よく聞く『プロバイオティクス』。
腸内環境を良くすると言うことで、プロバイオティクス食品を口に運ぶ人も多いはずです。
でも、このプロバイオティクスが腸内にどのような役割を果たすかご存知でしょうか?
と言うことで、今回の記事は『プロバイオティクスの腸内での役割』について書いていきます。
プロバイオティクスの働き
プロバイオティクス(有用菌)という言葉をご存知の方は、かなり健康意識が高めで、腸内に1000種類を超える細菌が、合計100兆個以上生息していることもご存知だと思います。
しかし、プロバイオティクスの良くある誤解として、『摂取した菌たちは腸内にずっと住み続ける』と考えていることです。(お母さん由来の常在菌は長いこと腸内で生き続けます。)
ほとんどの有用菌は腸内を通過するだけで、やがて体外に排出されてしまいます。
「え?そんなバカな!?」
と思うかもしれませんが、ちょっと考えてみればわかることです。
もし仮に、腸内に住み続けてくれるのであれば、2、3回プロバイオティクス食品を取ればいいだけではありませんか?
他の理由としては、例えばヨーグルトなどにいる乳酸菌は、腸内の環境を好むのでしょうか?
乳酸菌は文字どおり、乳糖を好むので、乳糖が多いわけではない腸内環境に留まるメリットはあまりないのですね。
そのためプロテオバイオティクスと呼ばれる有用菌たちは、消化器官を通り過ぎるだけになってしまいます。
「それなら食べる意味ないんじゃない?」
と思うかもしれませんが、意味はあるんですね。
有用菌が体内に入ると、病原体に対する人体の免疫機構が強まるというデータがあるのです!
防護壁を作る
人間の腸の壁には、ネバネバした粘膜があります。
これが病原菌から人体を守る役割をしているのですが、有用菌はこのネバネバの分泌を促す役割があるのです!
この関係性については、まだ明確には分かっていませんが、有用菌は腸内の壁を強くする働きがあるのです。
ジョージタウン大学医学センターの研究グループによると、乳酸菌飲料を飲む幼児のグループと、乳酸菌飲料を飲まない幼児のグループに分けて、有用菌の働きを調べました。
すると、乳酸菌飲料を飲んだグループの幼児たちは、飲まなかった幼児に比べて、胃腸感染症の罹患率が24%も低いことがわかりました(→Use of a fermented dairy probiotic drink containing Lactobacillus casei (DN-114 001) to decrease the rate of illness in kids: the DRINK study A patient-oriented, double-blind, cluster-randomized, placebo-controlled, clinical trial)。
この他の研究にも、感染症の下痢患者に対しても、有用菌が効くこともわかっています。
研究結果にはばらつきがあったものの、有用菌を与えたグループでは症状の持続時間を25時間短くしました(→Probiotics for treating acute infectious diarrhoea)
有用菌は腸内以外にも効く
プロテオバイオティクスなどの有用菌を取れば、それが腸内には良い影響を与えるのは、なんとなく理解できるかもしれません。
しかし、面白いことに『腸以外』でも湯用菌は効果を発揮したのです。
ワシントンDCの幼稚園児で有用菌を摂取した子供達は、胃腸の感染症だけでなく、上気道感染(風邪など)の罹患率も低いことがわかりました!(Probiotics for preventing acute upper respiratory tract infections)。
明治乳業がR1というヨーグルトを作っていますが、あれはインフルエンザに効くなんて言われていますね。
まぁこのあたりは、腸内細菌が1000種類で100兆個以上いる関係から、どの菌がどのような影響を与えているかのデータをはっきりと取ることができないのですが、有用菌は体にプラスの影響を与えると考えてOKでしょう。
腸内細菌が『腸内以外』でも活躍するって面白いですよね。
人によってバラバラ
腸内細菌環境は人によって異なります。
だから、あるプロバイオティクス食品がAさんによくても、Bさんに良いかどうかはわかりません。
というのも、細菌同士の相互作用があるからです。
もしかしたら、菌自体が体に合わないのかもしれないし、単にAさんに効果があった量では、Bさんには効果がないのかもしれません。
また、数年後にはそのプロバイオティクス食品がAさんにも効果がなくなっているかもしれません。
というのも、腸内細菌環境というのは、変化するからです。
前の記事に書いた通り、抗生物質などを飲むと、悪い菌も良い菌も見境なく殺していきます。
一度壊された腸内細菌環境が元どおりになることはないのです。(食品添加物や抗生物質が腸内細菌に与える負の影響)
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回の記事では『プロバイオティクスが腸内に与える影響』について書いてきました。
正直なところ、まだまだプロバイオティクスがどのような影響を与えるかは、はっきりとはわかってないんですね。
なんとなくの相関関係があるから「有用菌の摂取は体にいいんだろう!」という見解になっています。
そして、プロバイオティクスの難しいところは、腸内細菌環境が人によって様々なので、どの有用菌が誰に効くかはわからないということです。
だから、いろいろな菌を試してみるしかないんですね笑。
今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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