腸内細菌環境の研究に使われる『ノドバイオティックマウス』をご存知でしょうか?
「腸内環境の研究ってこんな感じに行われてるんだ〜」という、1つの例を知ることができたので、記事にしてみたいと思います。
ノドバイオティックマウス
腸内細菌の研究に使われる便利なツールに『ノドバイオティックマウス』があります。
ノドバイオティックの意味は『体内の細菌群が同定されている生物』のことです。
つまり、ノドバイオティックマウスとは、マウスの腸内にいる細菌がわかっているということです。
人間の腸内細菌は1000種類を超える細菌たちが、合わせて100兆個いると言われています。
これだと、どの細菌がどんな影響を人体に与えるかが分かりませんよね?
しかし、このノドバイオティックマウスを作成することで、細菌の働きを研究することができます。
無菌マウスの作り方
ノドバイオティックマウスは、『無菌マウス』から作られます。
無菌マウスに、
- 糖尿病患者
- クローン病
- 炎症性腸疾患
- 肥満
などの症状を持つ患者の腸内細菌を移植して、ノドバイオティックマウスにするのです。
そのためにもノドバイオティックマウスを作成するためには、全く菌を持たない『無菌マウス』を作成する必要がありますね。
無菌マウスの作り方は、妊娠したマウスの帝王切開を行い、子マウスが入ったままの支給を取り出し、漂白剤の希釈液に浸して滅菌します。
母マウスのお乳をもらうと、母マウスの細菌が移るので、子マウスには殺菌ミルクを授乳します。
そして、殺菌された餌と、殺菌された水と、殺菌された部屋で、フィルターでろ過された空気を吸い、マウスは成長し、無菌マウスが作られるのです。
無菌マウスかの確認方法
無菌環境で育てられたマウスも、本当に無菌なのかは分かりません。
ですから、ある方法で菌のチェックがされます。
その方法が、『便』をチェックすることです。
便に未確認の細菌が含まれていないかを定期的にチェックされるのです。
こうした大変な労力と資金がつぎ込まれて、腸内細菌の研究が行われています。
腸内細菌研究でわかってきていること
腸内細菌研究では面白いことがわかってきています
研究ではよく、
- 普通の腸内細菌を持つマウス
- ヒトの腸内細菌が入ったマウス
- 無菌マウス
の3つの条件のマウスを比較して、腸内細菌が与える影響を調べています。
腸内細菌がエネルギー効率を高める
無菌マウスは、普通のマウスより餌をたくさん食べるけど、体重が少ないことが分かりました。
そこから、腸内細菌のおかげで、エネルギーをより効率的に摂取できることがわかっています。→The gut microbiota as an environmental factor that regulates fat storage.
太る原因は腸内細菌環境の違い?
「太りたくない」
そういう思いから、有酸素運動を週に2、3回行いダイエットに励む人も多いでしょう。
腸内細菌研究から、こんなに面白いこともわかっています。
肥満気味のマウスと、痩せたマウスとでは、異なる腸内細菌環境を持っていたのです。→Obesity alters gut microbial ecology
面白いですよね。
まぁこれは、肥満の人の食生活が腸内細菌環境に影響を与えているのか、それとも腸内環境が直接肥満に影響しているのか、因果関係を理解することができないのですがね(´・ω・)
しかし、ここでノドバイオティックマウスが役に立つのです!
肥満したマウスの腸内細菌を、痩せたマウスに移植しました。
どうなったと思いますか?
なんと、食生活や運動習慣に変化はないのに、体重が増え始めたのです!
腸内細菌環境が、体に与える影響が分かるというびっくりな研究だったのですね。
→An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest.
ちなみにこの論文はNatureと呼ばれる、めちゃめちゃ権威ある学術雑誌なので、かなり信憑性は高いのです(`・ω・´)”
多くの研究者はNatureに自分の研究成果を載せようと日々努力しているんですね。
ちなみに、今の腸内細菌研究では、腸内細菌が太るとか痩せるとかだけではなく、
- 大腸ガン
- 代謝異常
- クローン病
- 精神病
などなど、様々な病気に関係すると言われています。
まだまだ、どんな腸内細菌が個別具体的に影響しているかはわかっていませんが、腸内細菌が人体に大きな影響を与えていることは確かなのです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回の記事では『ノドバイオティックマウス』について書いてきました。
腸内細菌が人体に与える影響を研究するためにも、『ノドバイオティックマウス』はすごく重要なんですよね。
腸内細菌環境の研究ってすごく面白くて、健康に生きるためにも、多くの人が知るべきだと思いっています。
私の心情としては、病気は治療ではなく予防!
人生は100年計画として、病院のベットで残りの人生を過ごしたくはないですよね?
そのためには健康的な生活をすることで、健康寿命を延ばしていく必要があります。
ここで重要になってくるのが腸内細菌環境を整えることだと私は考えています!
今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
参考にした本 『腸科学』
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