
ナトリウムって身体にどんな効果があるの?
そんな疑問に答えます。
今回の記事では『ナトリウム』について詳しく書いていきたいと思います。この記事を読むことで、
- ナトリウムの効果
- ナトリウムが多く含まれる食材
が分かります。
1 ナトリウムの効果とは?
高校で化学を習ったことがある人ならばお馴染みのナトリウム。原子番号11番で元素記号はNa。アルカリ金属元素の1つですね。
1.1 ナトリウムの機能
ナトリウムは体液のうち、細胞の外にある『細胞外液』の主要な成分です。細胞外液では陽イオン(Na+)で存在し、細胞外液量を維持しています。ナトリウムは生体内で以下のような働きをします↓
- 浸透圧の調整
- 酸塩基平衡の維持
- 活動電位の働き
ナトリウムは特にカリウムとの関係性が重要で、ナトリウムとカリウムが相互作用して神経伝達をスムーズに行なっています。ナトリウムを取りすぎると高血圧やむくみの原因となりますが、不足すると神経痛などの神経異常をきたします。
ただし現代の食生活をしていれば、ナトリウムの摂取量は十分すぎるほどなので意識して摂取する必要はありません。
1.2 ナトリウムの消化と吸収
食事から摂取されたナトリウムは大部分が小腸で吸収されます。
1.3 ナトリウムが不足すると
ナトリウムが不足することはほとんどありませんが、発熱などで下痢や嘔吐が起こり、欠乏すると以下のような症状が出ます。
- 錯乱
- 昏睡
- 痙攣
- 食欲不振
- 筋肉痛
- 吐き気
などの症状が出ます。
炎天下の中で激しいトレーニングをする人も、大量に汗をかいてナトリウム不足になっちゃいますのでお気をつけください。「ただの水だけを飲む」のはNGです。
1.4 ナトリウムの推奨摂取量
厚生労働省が推奨しているリンの1日の推奨摂取量は、成人男性8000mg未満、成人女性で7000mg未満です。
この表は、厚生労働省のサイトより引用しています。記事の一番下でリンクを貼っています。
1.5 ナトリウムを過剰に摂取すると・・・
「塩分の取りすぎは体に悪い」は耳タコの話です。そもそも塩を化学式で書くとNaCl(塩化ナトリウム)、つまり塩の中にNaは含まれているのです。(「塩=ナトリウム」ではありません。ナトリウムは塩の一部です。)
塩分をたくさん取りすぎると、
- 高血圧
- 胃がん
などになる可能性が高まりますので、塩分は控えめにしましょう。
なんにも気にしないで食事をしていたら、簡単に8g以上は塩分を摂取してしまいます😱
1.6 食塩相当量とは?
清涼飲料水のラベルを見ると、ナトリウム〇〇mgと書いてある横に『食塩相当量〇g』と書いてあることがあります。食塩(NaCl)は水に溶けるとイオン化してナトリウムイオンと塩化物イオンに分かれます。
そのため、溶液中では『食塩』ではないのですね。ですからナトリウム表記は正しいのですが、それだと『食塩としての量』が分かりません。そのため『食塩相当量』が表記されるようになりました。
1.7 ナトリウムから食塩の計算方法
食塩相当量が表記されていない場合の、計算方法を紹介します。
お菓子などの成分表に『食塩』と書かれていたら、どれくらいの塩分を摂取しているのかがわかります。しかし『ナトリウム』って書かれていると、どれくらいの食塩を摂取しているのかがわかりません😅でも、大丈夫です。ナトリウムからでも食塩を計算できます👍
『ナトリウム×2.54=食塩相当量(g)』から計算できます。「2.54という数字がどこから来るんだよ!」という方のために、ちょこっと説明します。
- NaCl食塩)の分子量は58.5
- Na(ナトリウム)の分子量は23
- Cl(塩素)の分子量は35.5
ここから2.54という数字を出すことができます。『58.5÷23≒2.54』ですね。ですからナトリウムに2.54をかけることで、塩の量を算出できます。
例えば、ナトリウムが1000mgであれば1000mg×2.54なので、2540mgの塩分となります。
1.8 ナトリウムを多く含む食品
以下にナトリウムを多く含む食品をあげておきます。(食塩相当ではなく、ナトリウムの量を書いています)
文部科学省の食品成分データベースを参考にしています⇨食品成分データベース
食品名 | 100gあたりのmg |
福神漬け | 2100 |
しば漬け | 1600 |
たくあん | 1700 |
梅干し | 8700 |
生卵 | 170 |
生ハム | 2200 |
鳥の唐揚げ | 1100 |
ナチュラルチーズ | 1500 |
バター | 750 |
さつまいも | 36 |
加工食品になると、一気にナトリウム量が多くなります😅美味しいのですが、食べ過ぎは気をつけましょうね〜!!
1.9 ナトリウムとカリウムの関係
ナトリウム-カリウムポンプというものがあります。名前の通り、ナトリウムとカリウムによってこのポンプは動きます。
身体のエネルギーはATPによるものですが、その3分の1から4分の1が、ナトリウム-カリウムポンプに動力を提供するために使われています。 なぜATPの多くがこのポンプに使われるかというと、『情報伝達』をするために必要だからです。
ナトリウムとカリウムのバランスが崩れると、情報をうまく伝達できなくなります。そうすると細胞の浸透圧が調節できず、細胞は膨れ上がって破壊されてしまいますし、栄養も取り込めなくなってしまいます。
*ナトリウム-カリウムポンプの働きについて↓
細胞内はカリウムが多く、細胞外はナトリウムが多くなっているのですが、その状態はナトリウムポンプの働きによって保たれています。ナトリウム-カリウムポンプは、ナトリウムイオン3個を細胞外に運び出し、カリウムイオン 2個を細胞内に運び入れます。
この働きによってイオン濃度差が起こり、電気的な勾配が発生します。電気勾配の変化により『活動電位』が発生し、情報が伝達されていくのです。ナトリウム-カリウムポンプは神経の興奮伝達や細胞の浸透圧調節のほか、小腸や尿細管で栄養素が吸収されるときにも働きます。
1.10 塩分と高血圧の関係
塩分を多くとると、体内の塩分濃度が上がります。塩分濃度を薄めるためには、水を飲んで体液を薄める必要があります。
水を飲んで体液が増えると、増えた分の体液を動かすために心臓は圧力を高めなくてはなりません。そのため血圧が高くなる、というわけです。
おわりに
今回の記事では『ナトリウム』について書いてきました。
簡単にナトリウムのことを覚えるとしたならば、
- 細胞外液の主成分
- 浸透圧に関与
- 不足することがほとんどない
です。
*参考
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