とりあえず結論を先に書いておきますと、「お菓子やデザートなどの加工食品はできるだけ食べない方がいいでっせー。特に子ども。」。
私は食品メーカーで働き出してから、ほぼ加工食品は食べなくなりました。加工食品を食べなくなったので、20歳を過ぎて過去最高に調子のいい体を手にしております笑
んでは、ダラダラと書いていきます。
私は、大学を卒業して食品メーカーに就職しました。食品メーカーといってもいろいろありますが、乳業メーカーを選んでいます。なぜ乳業メーカーかといいますと、腸内フローラにいいとされるヨーグルトを作ったり、世に広めたりして、社会貢献ができればいいなー、と思っていたからです。
じゃあなんで腸内フローラに興味を持ったかといいますと、ここは話せばかなり長くなってしまうので少し触れる程度にしますが、「医療費がやばすぎて将来世代への負担がやばすぎだから、予防医療が大切や!」という思いがあるからです。
病院にいって治療をすると、治療費は3割で済みます。後期高齢者だと1割ですね。つまり、7〜9割は税金で補填されます。頭が悪い人は「税金で支払ってもらえるんだラッキー」なんて言うのですが、その税金を支払ってるのが国民であり、私たちなのですよね。
- 「子供は医療費が無料!ラッキー!」
- 「教育費が無償化へ!ラッキー」
も同じ構造でして、結局は払うのは国民であり、多めに払うのは将来世代です。子供からすると、医療費が無料でも教育費が無料でも全然ラッキーじゃありません。大人になった時、その分を税金として徴収されるのですから。
話が少し逸れたので元に戻しますと、ようは高齢化で医療費がめちゃめちゃかかっいて、その負担が将来の若い世代に押し付けられるという構造になっております。その構造を変えるためには、「できるだけみんなが健康に長生きすればいいやん!」と、私は短絡的に考えました。そして『そのためには腸内フローラが予防に役立つんじゃね?』という思いから、ヨーグルトを扱っている乳業メーカーに就職することを選びました。
1 食品メーカーで新商品開発に携わって気がついたこと
さて、そんなこんなで食品メーカーで働き出した私。「人々の健康に役立つものを!」という思いの元、社会人生活をスタートしたのでした。
1.1 生活習慣病の諸悪の根源は食品メーカーかも
そして半年後、食品メーカーこそが人々の健康を害する諸悪の根源なのではないか・・・という思いに変わっていました🥶
就職説明会では「人の口に入るものだから、安全安心を!」などと謳っていたのですが、働いてみると全然違いました。確かに雑菌という意味では、殺菌するから安全です。鉄クズとかという意味でも、機械でチェックされるから安心です。食品衛生的には問題はありません。
でも・・・私は自分で作った新製品を「子供に食べてもらいたい」とは思いませんでした。むしろ食べないで欲しい、そう思いました。
1.2 コンビニで100円程度でお菓子やデザートが手に入る理由
100円を払えば、そこそこおいしいデザートがコンビニで食べられます。でもなぜそれが100円という安さで手に入るのか・・・少し考えればだれでもわかりそうなことです。そこに気が付けなかった理系大学生の私は本当にバカでした。
そんなバカな私も、作る側になってようやく気がつきました。徹底的に利益を求める企業の姿勢を。「企業努力」と聞けばすごく聞こえはいいですが、その実態は人の健康など度外視で、利益を求めていく姿勢でした。
できるだけ安い原料を仕入れているから、100円程度の安さで商品がコンビニなどの店頭に並ぶのです。ただ、それだけです。
1.3 トランス脂肪酸が入っている植物油脂を普通に使う
バターなんかは高いので基本的に使えません(高いものは売れないから)。ですから安い油、トランス脂肪酸が入っているマーガリンやショートニング、つまり体に悪いとされている油がガンガン使われています。
残念な事に、私が働いていた食品メーカーでは、トランス脂肪酸が体に悪いという認識を持っている人はほとんどいませんでした。当時はまだトランス脂肪酸が危険だということは、そこまで認識されていませんでしたからね。といっても、未だにそこで働いている同期はその認識をしていませんが😅
健康のために・・・そう思って入社したのに、欧米なんかでは規制がかかっているトランス脂肪酸を、あの商品にも、この商品にも、ガンガン投入していくのでした。だって油分が増えることで、口触りがマイルドになって『おいしい→売れる』のですから。
トランス脂肪酸の危険が認知されてから、トランス脂肪酸を減らす動きを見せている企業もあります。ハウス食品さん↓
「もっと早くからやれよ!」という気持ちもあるのですが、ちゃんと対策している姿勢は高評価ですね。他の食品メーカーもこのように公表して欲しいですね。(車メーカーであるあるな、不正検査問題が食品メーカーにはないことを祈る)
1.4 人を騙すようなパッケージ
例えば商品のパッケージに『あまおう』とデカデカと表示されていたら、「あぁこの商品はイチゴのブランドのあまおうが使われているんだな」と思うはずです。
でも、実際のところ、その商品に入っているあまおうは一部です。ほとんどはクッソ安いイチゴが入っています。法律的にある程度『あまおう』が入っていれば、パッケージにデカデカと『あまおう』と表記できるのです。(具体的な数値は忘れてしまいました😅)
これをはじめて知った時、「あー、詐欺っぽいなー」と思わずにはいられませんでした。
1.5 無味無臭のマンゴーに砂糖と香料でマンゴー風に
果肉を入れたらヘルシーな感じがして、いい感じの商品になります。マンゴーは高級なイメージもありますし、『マンゴー入りの商品』って、なんだか手に取ってみたくなりませんか?
ただし、使われているマンゴーの現物を知ると、たぶんみなさん驚きます。私は背筋がゾクっとしました。
私が扱ったのは、インド産のマンゴー。すりつぶしたマンゴーが、業者からパッケージに詰め込まれて送られてきます。味のチェックをするために、パッケージを開封して、パッケージの端についているマンゴーを人差し指でとり、ペロりんちょとします。
舐めてみてびっくり、
- 味なし
- 匂いなし
のマンゴーが、そこにはあるのですよ。
目の前にあるのは、黄色っぽいドロドロしたもの。目隠して舐めたら、なにがなんだか分かりません。
そんな無味無臭のマンゴーに、
- 砂糖を加えて
- 香料を加えて
おいしいマンゴーにしていきます。科学の力ってすごい。
人は、次の3つのものがそろったものを「おいしい」と感じます。
- 糖質
- 脂質
- アミノ酸
この3つのバランスが取れていれば、「うまい!」と脳が感じます。
加工食品は、このバランスがよくなるようにデザインされています。「素材がいいから!」とかではなく、「味付け」がいいだけです。
そしてそういう食品は、人を中毒状態にします。「今日も欲しい、明日も欲しい、明後日も欲しい」、そのような味付けがされているのですね。消費者がそう思ってくれると、食品メーカーは儲かるのです。そして食品に関連する企業(輸送とか印刷とかパッケージを作る企業など)も儲かります。
1.6 着色料と香料に支配されている
食品メーカーで働きだして、香料メーカーの凄さに驚きました。ほとんどすべての香料が人工的に作られています。
- バニラ
- 抹茶
- チョコレート
- マンゴー
- ストロベリー
などなど、私たちがパッと思いつく『いい匂い』のものは、香料メーカーさんに頼むとすぐに用意してくれます。
着色料も同様です。
- 赤色
- 緑色
- オレンジ色
- 青色
- 茶色
などなど、メーカーさんに頼むとすぐに用意してくれます。
ここから簡単に抹茶アイスができます。
- バニラアイスを用意
- 抹茶の匂いがする香料を入れる
- 緑色の着色料を入れる
これで、抹茶アイスが完成です。
ストロベリーアイスも簡単ですね。
- バニラアイスを用意
- ストロベリーの匂いがする香料を入れる
- 赤色の着色料を入れる
- (イチゴのタネや果肉を入れると、さらにそれっぽくなる)
これで、ストロベリーアイスの完成です。
カスタードアイスも簡単です。
- バニラアイスを用意
- カスタードの匂いがする香料を入れる
- 黄色の着色料を入れる
私たちは安い加工食品を購入している限り、『ホンモノ』に出会うことはありません。『ベースの甘い味+着色料+香料』で、「これは〇〇の味や!」と感じています。色と匂いに支配されているのですね。基本的に食べているのは、砂糖と質の悪い油分なのですよ。
2 人が不健康になればなるほど多くの企業が儲かる
私は「人の健康に貢献したい!」という青臭い志を抱いて、乳業メーカーに入社しました。しかし実態は、まったくの逆。人が太るように、中毒になるように、新製品を開発していたのでした。
2.1 恐ろしいことは、その危険性にほとんどの人が気がついていないこと
私のような考えを持っている人は少ないと思います。社員の全員と腹を割って話したわけではないので真意は分かりませんが、多くの社員は「商品を作って売ることは普通のことだ」と感じて働いていました。
少しニュースを見れば、生活習慣病が問題になっていたり、医療費が問題になっていることが分かります。食品メーカーは、それらの問題とは無関係ではいられません。
2.2 人が病気になれば薬が売れる
人が中毒になって儲かるのは食品メーカーだけではありません。パッケージを作る会社、印刷する会社、材料を調達する会社、お店に運ぶ会社などが儲かります。そして、お医者さん、そして製薬会社の人たちも儲かります。子どもが虫歯になる原因のほとんどは加工食品でしょうから、歯医者さんも儲かりますね。
加工食品が売れれば売れるほど、多くの会社が儲かることが分かります。人が暴飲暴食をし、病気になって病院通いをして、薬を飲めば飲むほどGDPは上がるのです。
つまり、経済効果が見込めます。果たしてこの経済効果は人を幸せにするのでしょうか?ある一定以上のGDPレベルを達成した国においては、GDPと幸福度は関係しなくなります。
2.3 たくさんの税金を使って治療するべきなのか?
「人の命は大事だ!」
その通りです。
「人の命のためなら、税金はいくら使ってもいい!」
その通り・・・とは言えません😅
IPS細胞でノーベル賞を受賞した山中伸弥先生は、著書の中でこのようなことを言っています。
「薬で一人の人を治療するのに何千万円もかかるということが現実に起こっています。そのお金は誰が払うのか。良いことをしているつもりが、実は社会に対してマイナスになっていたら、それはとても悲しいことです。」
お金は無限にはありません。どこに使うか、優先順位を決めていかなくてはなりません。例えば、日本の子どもの6人に1人は相対的貧困状態にあります。健康診断の診断結果を無視して体を壊した大人と、相対的貧困状態にある子ども、どちらに税金をかけるべきでしょうか?
おわりに
テレビには、
- 〇〇が浮気
- 〇〇が離婚問題
とか、あまりにもくだらないものがあふれていいます。
なぜそんなくだらないものがあふれているかというと、視聴率が取れるからです。多くの人が、そういうものを求めているからです。
食品メーカーも似ています。安くておいしいものを消費者が求めているので、その期待にこたえているだけです。食品メーカーが作る商品を、食品メーカーが無理やり食べさせているわけではありません。食べる決断を下したのは、食べる人なのです。
でも作る側にまったく責任がないかというと、私はそうは思いません。私には昔からの疑問があります。『人が求めるものを提供すればいいっていう考えは、ただの思考停止じゃない?』ということです。
人が求めるものをただただ提供していくのあれば、それはなんだってアリな状態になってしまいます。
- 酒
- タバコ
- 麻薬
「人が求めるものを提供する」のであれば、これらもアリなはずです。
しかし、麻薬はもちろんのこと、酒・タバコにも規制があります。じゃあ規制がないものは、がんがん提供してもOKなのか?法律上はOKですね。でもここが今の時代問われているところですよね。
「法に違反しなければ、なにをやってもいい」というような考えはとても悲しいです。DeNAのWELQ問題を繰り返してはいけません。
酒やタバコと同じように、加工食品も年齢制限を設けるべきなのではないかなーと思うばかりです。ほとんどの大人ですら、加工食品の誘惑に抵抗できていません。ましてや、自己コントロール能力が育まれていない子どもはなおさらです。なにしろ中毒状態にする味付けを、食品メーカーがわざわざ作り出しているのですから。
「子どものことは、親が管理するべきだろ」という意見もありますが、やはりそれも難しいです。となると、やはりある程度の規制が必要なのではないでしょうか。
ただ、規制をするとなるとさらに話は複雑になるので、私としては「加工食品はあんまり食べないようにしよーぜ」という風潮を作っていきたいです。でも、不思議なくらいに人は加工食品を食べまくります。すでに脳が中毒状態で、正しく判断できないのだと思います。
「孫の喜ぶ顔が見たい」といって、私の親は孫にお菓子を与えまくります。どれだけ加工食品の危険性を伝えたところで、その量は減りません。ちなみのその子は小学生に上がる前までに、虫歯が3本もできておりました。お菓子をたくさん与えることは優しさではありません。優しい祖父母でいたい、孫の笑顔を見たいというエゴなのです。
子どもには酒やタバコはダメ!というのに、お菓子やジュースやアイスは圧倒的許可。この風潮をどうにか変えていきたい・・・。でもすこぶる難しい。せめて子どもには・・・甘いものは1日2個だけ、というような制限をつけてもらえたらなぁと思います。
その制限を子どもに課したのであれば、自分も守らなければなりません。「大人はいいの」みたいに逃げてはダメです。
と、こういうマッチョなことを言うからダメなんだろうな・・・。じゃあどうしたらいいの。
僕には分からない。分からなくなった。
それでは!