太りやすさはカロリー、遺伝子、代謝で説明できるのかな?
そんな疑問に答えます。
結論から言うと、それだけで太りやすさを説明することは難しいです。なぜかというと人体はとても複雑だからです。
1 太りやすさを遺伝子だけで説明できるのか
まずは太りやすさと遺伝子を見ていきましょう。確かに遺伝子と太りやすさの関連性はあります。ですが遺伝子だけで現代の肥満の増加を説明するの難しいです。
1.1 肥満に関係する遺伝子は多く見積もっても10%
2010年、数百名の科学者からなるチームが25万人を対象に、体重に関連する遺伝子を隅から隅まで探していました。そこから分かった事は、ヒトゲノムの中で体重増加に作用していると思われる遺伝子は、2万1000個のうち32個しかなかったことです。
これらの遺伝子の影響を最も受けている人と、最も受けてない人の体重差の平均は、たったの8キロです。肥満を親のせいにしてしまいたい気持ちもわかりますが、遺伝子配列の最悪な組み合わせを親から受け継いだとしても、それで上がる肥満のリスクは1%から10%のどこかしかありません。
遺伝子だけで、現代の肥満の増加を説明することはできないのです。
1.2 新陳代謝は太っている人の方が高い
「新陳代謝がいいから太らない」と言うのは、科学的に何の根拠もありません。
新陳代謝が悪いということを正確に言うと、「基礎代謝が低い」ということです。基礎代謝が低いということは、体を全く動かさずに消費するエネルギーが少ないことを意味します。
実は、基礎代謝率は太った人より痩せた人の方が低いです。言い換えると、太った人の方が新陳代謝が高いということです。なぜかというと、小さな体を維持するより大きな体を維持する方が多くのエネルギーを使うからです。当然のことですね。
1.3 ニワムシクイという鳥から分かるカロリーの考えの限界
ニワムシクイという鳥は、孵化してからほんの2ヶ月で6500キロ渡に出ます。夏の居住地であるイギリスからヨーロッパ大陸を超え、冬の居住地であるサハラ以南のアフリカまで移動します。
長距離の旅に出る前に、ニワムシクイは体力をつけるために体を太らせます。体重は2週間ほどで、17グラムから37グラムに増加します。長距離旅に出る前のニワムシクイは、なんと毎日元の体重の10%ずつ増やしていきます。これは、体重63キロの人が毎日6キロ半ずつ太って、最終的に140キロになるようなものです。ありえないくらい短期間で太れているのですね。
研究者たちは、ニワムシクイが摂取したカロリーと糞として排出されたカロリーを計算し、大食いだけで体重が増えたわけではないことを見出しました。つまり、なんらかのカロリーを貯蔵する方法があるということです。
またニワムシクイは、体重を減らすときの作用も不可解なものになっています。長距離の旅の間に徐々に痩せていき、アフリカの越冬地に着いた頃には元の体重に戻っています。ここだけなら話はわかります。しかし、籠の中で飼われているニワムシクイも同じような体重の増減を見せます。野生のニワムシクイと違って、飼育されているニワムシクイは好きなだけ餌を食べられる状況にあるのにです。
この鳥の体内でどんな調節作用が働いているのかは、不明です。しかしここからわかることもあります。摂取するカロリーだけで体重が決まるわけではないということです。ニワムシクイの体重の増減は、「入ってくるカロリーと出ているカロリーが同じなら維持されるという」という従来の単純なダイエット論では説明できません。詳細は分かりませんが、ニワムシクイは摂取したカロリー以上の脂肪を素早く蓄えることができ、燃焼させるカロリー以上の脂肪を落とせるのです。
おわりに:腸内フローラを整えよう
肥満に、遺伝子が関係しています。摂取カロリーも関係しています。しかし、それだけでは説明できません。
ではあと何が関係してるのか?というと、その1つの大きな要因として腸内フローラの乱れが考えられています。現代人は食生活の乱れ、抗生物質の乱用などで、腸内フローラの多様性が減少しているのです。というわけで、腸内フローラを健全にすることができれば、体重のコントロールもしやすくなる可能性があります。
腸内フローラを整える方法は、こちらの記事を参考にしてみてください。
参考にした本↓
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