資生堂の研究員の江連智暢(えづれとものぶ)さんの本を読んだのでメモします。結論からいうと、『肌のたるみが老け顔の大きな要因だから、若いうちからたるみを防ぐために表情筋を鍛えましょう!』という感じです。
*参考にした本↓
1 資生堂の研究員から学ぶアンチエイジング法
では、個人的に興味深かったところをメモしていきます。
1.1 他人目線の顔はプラス10歳かも
私たちが普段目にする自分の顔は、正面からの顔です。鏡で見る自分、自撮りで見る自分は正面からの顔ですね。
ですが、他人目線は違います。他人の目線から見られる自分は、正面ばかりのものではありません。ここが意外な落とし穴です。
他人目線を知るためには、斜め45度からの自分の顔の写りを意識してみましょう。というのも、斜め45度から見る顔は、見た目に10歳くらいの差が出ることがあるからです。
正面から見る場合と斜めから見る場合で、見た目の年齢に違いが出る理由は、『影のでき方』です。斜めから見る場合、ほうれい線・マリオネットラインと呼ばれる線が目立ってしまうのです。
それで、ほうれい線やマリオネットラインに関係してくるのが『肌のたるみ』です(ほほが下がってたるむことで、ひずみが生まれて肌に境界線ができてしまう)。見た目年齢を大きく左右するのは、顔のカタチを変えて影を作り出す『たるみ』なのです。たるみとは、『重力で顔の形状が下垂した状態』のことを言います。
1.2 たるみを防ぐにはフェースマッスルプログラム
深いほうれい線があると顔が老けて見えます。なぜほうれい線がなぜできるのかというと、前に述べたとおりほほのたるみが大きな原因となっています。たるみは20代から始まり、40代ごろで顕在化されます。たるみは気がつきづらく、気がつかないためケアも遅れがちです。そしてシミやシワはメイクで隠したりごまかしたりできるのですが、たるみは難しいです。
ということで、20代からはたるみ予防をしていきましょう。たるみ予防になるのが、表情筋を鍛える運動です(研究で、表情筋の機能が低い人ほどたるみが大きいことが分かっている)。資生堂さんがフェースマッスルプログラムとして、YouTubeにて動画を公開しているので転載します↓
フェースマッスルプログラムの効果的な方法ですが、1日に1回、顔のお手入れを終えた後にやるのが効果的です。鏡を見ながら、どの筋肉を動かしているのかを意識して行いましょう。
1.3 太ると肌にいいことはない
太っている人は肌が張っていて、一見すると綺麗に見えます。しかし研究によって意外なことが分かってきました。肥大化した脂肪細胞は、肌によくない因子を分泌するのです。
肥大化した脂肪細胞の遺伝子発現を調べると、次のようなことが分かりました。
- マトリックスメタロプロティナーゼ9(MMP9:弾性繊維を分解する酵素)の遺伝子発現と分泌が増加→真皮の弾性繊維が分解され、肌の弾力が低下する
- コラーゲン、エラスチンの遺伝子発現が低下
また、肥大化した脂肪細胞が存在する繊維芽細胞では、マトリックスメタロプロティナーゼ13(MMP13:真皮のコラーゲンを分解する酵素)の発現が増加することも分かっています。太るとお肌にいいことはないのですね😱
逆に、肥大化していない小型の脂肪細胞は、アディポネクチンという因子を分泌し、これは肌の状態を整えます。アディボネクチンは、線維芽細胞のコラーゲン、ヒアルロン酸の産生を促すため、肌の状態を正常にさせるのです。
2 少しマニアックな肌の話
ここから、少しマニアックな肌の話を書いていきます。
2.1 加齢にともなう表皮の変化
皮膚は大きく分けて3層で構成されています。外側から、表皮、真皮、皮下組織という3層になっています。
表皮は乾燥を防ぐため水分を逃さないように保持する役割、外部からの異物の侵入を防ぐ役割があります。美容系でよく聞く『セラミド』も表皮を構成する成分の1つです。
では、表皮は加齢によってどのように変化するのでしょうか。自然老化によって、一般には表皮層が薄くなると考えられていますが、様々な報告がありよく分かっていないとのことです。加齢にともないセラミドが減少するという報告もあれば、その逆の報告もあるそうです😅
とりあえず言えることは、紫外線によるダメージは防ごう!ということです。
2.2 加齢にともなう真皮の変化
表皮の下にあるのが真皮です。真皮の大部分はコラーゲンなどの硬い成分で構成されており、真皮は皮膚に強度を与える役割があります。真皮には線維芽細胞が存在しており、繊維が細胞がコラーゲンなどの成分を産生・分解することで真皮の状態を制御しています。
では、真皮は加齢によってどのように変化するのでしょうか。真皮に存在する線維芽細胞は紫外線によってダメージを受けます。紫外線の中でもUVAは真皮層の上部まで到達し、線維芽細胞のDNAにダメージを及ぼします。これにより線維芽細胞のコラーゲン産生能が低下します。
さらにダメージを受けた線維芽細胞からは、コラーゲンを分解するマトリックスメタロプロティナーゼ1(MMP1)が産生され、周囲のコラーゲンが分解されます。
まとめると、紫外線によりダメージを受けた線維芽細胞は、①コラーゲン産生能力が低下し、②コラーゲンを分解する酵素を分泌します。
また紫外線は、繊維が細胞が生み出す弾性繊維にも影響を及ぼします。通常は繊維状である弾性繊維が、紫外線の影響により球状となります。この変形した異常な弾性繊維が加齢とともに蓄積していきます。
線維芽細胞は糖化によるダメージも受けます。糖化とは、当サイトでおなじみにAGEs(最終糖化生成物)ですね。AGEsは、組織を構成するタンパク質と糖が反応(糖化反応)してつくられます。AGEsは組織を構成するタンパク質を変性させるだけではなく、AGEs受容体を介して細胞に炎症性のサイトカインの産生を促します。
真皮では、加齢に伴い弾性繊維の糖化が進みます。糖化とたるみとの関係性は直接的には証明されていませんが、弾性繊維が変性することで皮膚の弾力性が低下し、たるみやシワの増加に関係があると考えられます。
2.3 肌のアンカー理論
近年、江連さんらの研究チームは、真皮の下部に突起状の構造が存在しており、これが真皮を皮下に保持していることを明らかにしました。この構造を『アンカー構造』と呼びます。
アンカー構造が多い肌では、顔の形状がしっかりと保持されるため、たるみをつくりません。しかしアンカー構造は加齢とともに減少します。つまり、皮膚を保持する力が弱まり、たるみにつながるというわけです。
顔の肌の弾力・ハリのもとになるコラーゲン繊維と弾性繊維は横方向に配列しています。これに対してアンカー構造になっているコラーゲン繊維と弾性繊維は縦方向に配列しています。つまり、アンカー構造は肌が縦方向に動かないように保持しており、肌がたるまないようにしているということです。
おわりに:基本は食事・睡眠・運動
読んだ3冊の本の中では『あたらしいアンチエイジングスキンケア』がもっともまとまっていて読みやすかったので、興味がある方は是非読んでみてください。
従来のアンチエイジングスキンケアは『紫外線を防いで、肌の乾燥を防止させる』というものでした。しかしこれだけでは足りません。新しいアンチエイジングスキンケアは、従来のものに加えて『食事・睡眠・運動が大切』となってきます。って、当たり前ですね笑。肌をきれいにする栄養は食事から取る必要がありますし、肌を整えるホルモンは睡眠や運動をすることで分泌されますからね。
参考までに。それでは!
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