脂肪たっぷりの食事が腸内細菌に与える影響【アッカーマンシア・ムシニフィラが鍵かも】

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高脂肪食を食べ続けたらどうなるのでしょうか?

マウスを使った実験があって、マウスは84日間ずっと高脂肪食を与えられました。さてそのマウスはどうなったでしょうか?今回の記事も『マイクロバイオームの世界』と『あなたの体は9割が細菌』を参考にしています。

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1 マウスに高脂肪食を与え続けると?

当然のことながら、高脂肪食を与えられたマウスは肥満になりました。そしてインスリン抵抗性を示すようになりました。(インスリン抵抗性が出てくると、糖尿病につながります)

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ここまでは普通の実験ですが、マウスが肥満していく過程の中で、マウスの糞を採取し腸のマイクロバイオームを調べていました。すると、太っていくにつれて腸内細菌が変化していくことがわかりました。

1.1 変化したマイクロバイオームは元に戻るのか?

肥満化したマウスの食事を普通のエサに変えて4週間が経過すると、腸のマイクロバイオームが変化してきて、10週間が経つ頃には普通の飼料を食べ続けたマウスと見分けがつかないほどのマイクロバイオームになりました。

つまり、肥満になれば腸内細菌は変わるけど、肥満が治れば元の腸内細菌が戻っていくことがわかったのです!

1.2 同じ食事で腸内細菌が変われば?

肥満と腸内細菌の関係がわかりました。

そこでセントルイス・ワシントン大学のピーター・J・ターンボウさんたちがこんな実験を行いました。マウスの食事は同じままで、

  • 肥満マウスの腸内細菌を与えたグループ
  • 痩せたマウスの腸内細菌を与えたグループ

の2つのグループに分けて研究を行いました。

 

食事内容は同じなので、栄養面に違いはありません。それなのに肥満マウスの腸内細菌を与えられたマウスグループは、痩せたマウスの腸内細菌を与えられたグループより脂肪の量がはるかに多いことがわかりました。

 

つまり、肥満マウスの腸内細菌は、痩せたマウスの腸内細菌より効率的にエネルギーを摂取できるということなのです。

2 太るとアッカーマンシア・ムシニフィラが減る

マウスでもヒトでも、肥満になると、“アッカーマンシア・ムシニフィラ”という微生物が減り、血液中にリポ多糖が増えることがわかっています。

2.1 リポ多糖とは?

腸内細菌の中には、その表面にリポ多糖(LPS)という分子をつけているものがあります。リポ多糖は血液中に入ると毒素のようにふるまいます。つまり、血液中にリポ多糖が多いと、細胞が炎症を起こしてしまうのです。

 

ベルギーのルーヴァン・カトリック大学で栄養代謝学の教授をしているパトリス・カニさんは、太った人は血液中のリポ多糖濃度が高いことを突き止めました。またリポ多糖は、新しい脂肪細胞の形成を妨げ、その結果、「既存の脂肪細胞に過剰な脂肪が詰め込まれている」ということを発見しました。リポ多糖が脂肪細胞の機能不全を引き起こしているということです。

 

では、なぜ太っている人は血液中にリポ多糖が多いのでしょうか?

2.2 腸内でのアッカーマンシア・ムシニフィラの役割

痩せた人と太った人の腸内で存在量の違いが見られる微生物に、アッカーマンシア・ムシニフィラという細菌がいます。痩せた人にはこの細菌が多く存在していて、太った人にはこの細菌が少ないです。具体的な数字でいうと、アッカーマンシア・ムシニフィラは痩せた人では、腸内微生物全体の4%を占めているのに対し、太った人ではほとんどゼロです。アッカーマンシア・ムシニフィラは腸壁を覆う粘液層の表面に住んでいます。(ムシニフィラとは、粘液好きという意味)

 

腸壁の粘液層は、腸内から血液中に微生物が入り込むのを防ぐ防壁となっています。そして、アッカーマンシア・ムシニフィラが少ないと粘液層が薄くなり、腸内の細菌が血液中に入り込みやすくなってしまいます。

 

アッカーマンシア・ムシニフィラは、腸の粘液層を修復し、腸を守るために一役買ってくれている腸内細菌のです。具体的には、アッカーマンシア・ムシニフィラが腸壁の細胞に働きかけて、より多くの粘液を分泌させています。アッカーマンシア・ムシニフィラは人の遺伝子に化学信号を送って粘液の分泌を促し、それによって自分たちの住処を得ています。それが結果として、腸壁を熱くし、リポ多糖が血液中に入り込むのを阻止しているというわけです。

 

カニさんはこの考えを証明するために、肥満マウスにアッカーマンシア・ムシニフィラを加えた食事を与えてみました。思ったとおり、マウスの体内ではリポ多糖の濃度が下がり、新しく健全な脂肪細胞が作られるようになりました。そして何より、マウスの体重が減少しました。

 

アッカーマンシア・ムシニフィラを与えられた肥満マウスは、レプチンへの感受性が高くなり、食欲が減少しました。マウスの体重が増えていたのは、たくさん食べていたからではなく、リポ多糖がエネルギーを溜め込むように働きかけていたからです。つまり、エネルギー貯蔵システムは一定ではなく、変化すると言うことです。

 

カニさんのアッカーマンシア・ムシニフィラのサプリの治験計画が完了すると、アッカーマンシア・ムシニフィラサプリが売られるかもしれませんね。

2.3 アッカーマンシア・ムシニフィラを増やす方法

アッカーマンシア・ムシニフィラは、なぜ太った人の腸内で減っているのでしょうか。詳しいことはわかっていませんが、マウスに脂肪の多い食事を与えて太らせると、アッカーマンシア・ムシニフィラが減ることがわかっています。ですが、餌に食物繊維を加えると、アッカーマンシア・ムシニフィラが増えて健全な量に戻ることもわかっています。

 

で、アッカーマンシア・ムシニフィラを増やす方法ですが、カニさんは意図しない実験で発見しました。カニさんは、ビフィドバクテリウム属の存在量を増やす実験を行っていました。高脂肪食の餌を与えて育てたマウスの腸内では、ビフィドバクテリウムが減っているのに気がついたカニさんは、ビフィドバクテリウムが好きな食物繊維であるオリゴフルクトース(フラクトオリゴ糖:FOS)をマウスの餌に加えてみました。そうすることで、ビフィドバクテリウムが増え、ついでに体重が増えるのを防いでくれるのではないとかと考えたわけです。(オリゴフルクトースは、バナナ・タマネギ・アスパラガスなどに含まれています)

 

予想通りビフィドバクテリウムは増えました。そしてなんとアッカーマンシア・ムシニフィラを大増殖させていたのです。遺伝的に肥満体のオブオブ・マウスの餌にオリゴフルクトースを加えて5週間後、8倍もアッカーマンシア・ムシニフィラは増殖していました。(オリゴフルクトースを加えなかった場合と比べて)

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また、カニさんはアラビノキシランという別の食物繊維を加えてみました。アラビノキシランは、小麦全粒粉に含まれている食物繊維の主成分です。アラビノキシランを加えた餌を与えられた高脂肪食マウスは、オリゴフルクトースを加えた時と同じように、ビフィドバクテリウムを増やし健康を回復させました。

 

つまり、「健康のためには野菜を食べよう!」ということですね。

おわりに

この記事では『太りやすい食事が腸内細菌に与える影響』について書いてきました。太りやすい食事をしていると、腸内細菌が変わります。腸内細菌が変わると、余計に太りやすくなります。(同じ食事内容でも、肥満マウスの腸内細菌を与えられたマウスは太った)

 

そして太りやすい食事は腸内のアッカーマンシア・ムシニフィラを減らし、腸のバリアを弱くします。そうなると腸内から血中にリポ多糖が侵入し、肥満を加速させるというわけです😱

 

太りやすい食事を食べていると、体がどんどん太る方向へ回っていくということですね。
うーん、恐ろしい循環。参考までに。それでは!

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