医学博士スティーブン・R・ガンドリー氏の『食のパラドックス』を読みました。原題はTHE PLANT PARADOXなので、「野菜は体にいいぞー、ってわけでもない」ことをお伝えしている本でした。
野菜に含まれている『レクチン』と呼ばれる物質が人体に悪さをしているということです。レクチンについてここまで内容の濃い本は初めて読みました。
気になったところをメモしていきます“φ(・ω・。*)カキカキ
野菜は人間に食べられたいわけじゃない
私たちは健康のためにと言って野菜用食べますが、野菜からすると人間に食べられたいわけではありません。ですから野菜は捕食者から身を守ろうとして自衛物質を作り出します。
つまり野菜は人間にとって有用にもなりえますし、毒にもなり得るということです。毒がある植物とか毒キノコというのは当たり前に存在しますよね。
“2度と食べられないように”という戦術を野菜たちは試行錯誤してまして、捕食者を
- 弱らせ
- 麻痺させ
- 腹痛にさせ
- 病気にさせ
たりするのです。
野菜に含まれる人体にあまり良くない成分を下に書いております。
フィチン酸塩
フィチン酸塩はアンチニュートリエントと呼ばれるミネラル吸収阻害物質の代表格になります。
玄米に含まれております。これが含まれていますので「白米より玄米の方が体にいいんや!」とはこのサイトでは大きな声では言えておりません。
玄米を食べるか、白米を食べるかは個人の判断に委ねるしかありません。ただ太っている人は玄米の方がいいかもです。
普通の体型の人は白米でもいいと思っています。(食べ過ぎない&適度に運動をしているなら)
トリプシン阻害物質
消化酵素の働きを阻害します。
レクチン
レクチンがこの本のテーマになります。人間に様々な攻撃をすると著者は考えています。
レクチンは豆に含まれております。ですが、加熱したり発行させたりするとレクチンを減らすことができます。つまり、豆腐より納豆の方が食べるのはいい感じですね。
私は納豆&豆乳ヨーグルトを食べております。
レクチンとは?
レクチンは大きなタンパク質の総称で、動植物内の体内に見られます。私たちが知っているレクチンの代表格がグルテンになります。
しかしレクチンはグルテン以外にもたくさんの種類があるのです。
炭水化物に結合する
レクチンは炭水化物、特に多糖類と呼ばれる糖分子を狙って結合します。またレクチンはシアル酸とも結合します。シアル酸は動物の腸、脳、神経末端の間、関節、あらゆる体液、血管壁などに含まれる糖分子のことです。
レクチンが「粘っこいタンパク質」とも呼ばれるのはこの結合性のためで、それによって細胞間の連絡を阻害したり、炎症などの有害な反応を引き起こす。p25
人間はまだレクチンに耐性を獲得していない
なぜレクチンが問題なのかというと、人間がまだレクチンに免疫学的寛容(耐性)を得るまでに進化していないからです。
野菜以外にも含まれるレクチン
レクチンは野菜以外にも含まれています。何故かと言うと、牛などの動物がレクチンたっぷりの豆やとうもろこしを食べているからです。同様に、大豆やとうもろこし由来の餌で育った養殖業も同じになります。
レクチンとリーキーガットの関係
リーキーガットとは腸の内側が傷ついた状態のことを指します。(日本語でリーキーガットは腸管壁浸漏症候群と呼ばれております)
ヒトの腸は血管に送り込む物質をコントロールしているので、リーキーガットになっちゃうとコントロールができなくなるわけです。
つまり、“本来なら血管に入れたくない物質がガンガンと侵入してくる”ということになります。
リーキーガットについてはこちらの記事も参考にしてみてください↓↓↓
レクチンでなぜリーキーガットになるのか
レクチンの1種であるゾヌリンが腸に細かい穴を開けると考えられています。ただ、ここはまだ詳しいことが分かっておりません。
ちなみに、リーキーガットはレクチン以外でもなりまして、
- 腸に炎症を起こす物質(TNF、インターロイキン13など)
- 腸内毒素(腸内細菌のバランスが崩れた時に腸に穴を開ける)
という原因が考えられます。
レクチンが血管内に侵入すると
- 細胞の受容体に結合したり
- ホルモンのように振舞ったり
- 逆にホルモンを遮断したり
などなど、体内の情報伝達を妨害し、混乱を引き起こします。
消化が得意なレクチンと苦手なレクチン
植物を食べる種をざっくり分けると2つのカテゴリーに分けられます。
- 地面で生活する動物
- 樹上で生活する動物
地面で生活する動物
地面で生活する動物は、
- 牧草
- 穀物
に多い“単子葉植物”を食べるように進化しました。
樹上で生活する動物
樹上で生活する動物は、
- 木の葉
- 果実
に多い、“双子葉植物”を食べるように進化しました。
ヒトはこちらです。
レクチンと微生物の違い
単子葉植物のレクチンと双子葉植物のレクチンは全く違います。そしてそれらを食べる動物の体内微生物も違う進化の道を辿りました。
ヒトの食事の4つの大きな変化
4つの変化が私たちの体に深く影響を与えています。同様に、私たちと共生している微生物にも深く影響を与えています。
農業革命
およそ10,000年前の農業革命の到来により、大半の社会で穀物と豆と言う新しい食料源が短期間において主食になりました。
これにより、
- 葉
- 塊根
- 動物性脂肪
から
- 穀物
- 豆
へと食事の中心が変わりました。
牛の突然変異
およそ2000年前、北欧における乳牛の突然変異によって、乳が通常のA2型カゼインではなくA1型カゼインを含むようになりました。
A1型カゼインは消化を通じてβカソモルフィンというレクチンに似たタンパク質になる。このタンパク質は膵臓でインスリンを生み出すβ細胞に取り付く。そのためこの牛乳やそれから作られたチーズを食べると免疫反応が促され、膵臓を攻撃し始める。これが1型糖尿病の主原因と考えられている。p46
南欧の牛、山羊、羊はA2型カゼイン乳を出し続けていますが、A1牛の方が丈夫でより多くの乳を出すので畜産家はこちらを好んで育てています。
黒白まだらの牛さん、ホルスタインはA1乳牛になります。
アメリカ大陸の新種の植物
5世紀前、欧州人がアメリカ大陸に到達し、そこからアメリカ産の食物が世界中に広がりました。
- ピーナッツ
- カシューナッツ
- かぼちゃ
- ズッキーニ
- キヌア
などです。
人工食品
- 加工食品
- 遺伝子組み換え(GMO)作物(耐性をつけるためにレクチンが人工的に導入されている)
- 膨大な食品添加物・保存料
- トランス脂肪酸
ヘルシーフードは本当にヘルシー?
多くの職員には良し悪しの特徴がある。さらにレクチンに対する耐性には個人差もあるし健康状態にもよる。個人の健康は腸壁の健全性、微生物叢及びそれによる免疫機構への指示に強く依存する。そして私の見るところ、体内での戦争を率いているのはレクチンである事はますます明らかになっている。p52-53
筆者の患者にレクチン抜きの食事を指導すると、健康になった人が多数いるとのことです。
私たちがヘルシーだと思っている食事には、
- 麦
- 玄米
- ソバ
- 豆
などがありますが、これらはレクチンほ豊富に含んでおります。
小麦に含まれるWGAがやばい
グルテンより良くないものが小麦には含まれており、それがWGA(小麦胚芽凝縮素)になります。
WGAがなぜやばいかというと、小さいタンパク質だからです。そのため、腸の表面粘膜が損傷していなくても、他のレクチンよりも簡単に透過できるところです。
WGAが体に良くない理由は以下の通り。
- インスリンのように働き、内分泌を撹乱
- 糖が筋肉細胞に取り込まれるのを阻害
- タンパク質の消化を妨害
- フリーラジカルを放出して炎症を促す
- 他のタンパク質と相互作用
- 血液脳関門を通り抜けて神経学的問題を引き起こす
- 正常細胞とがん細胞の両方を殺す
- DNA複製を妨害する
- 動脈にプラークを固着させてアテローム性動脈硬化症を引き起こす
- 粘膜状のシアル酸と結びついてウィルスの侵入を可能にする
- 腎炎を増悪させる
お肉についての話
赤身肉が心臓病などと関係がある理由
ヒトはN-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)という名の糖分子を持っています。この糖分子は血管の内皮と腸壁の吸収細胞上に存在し、レクチンと結びやすい性質を持っています。
大半の哺乳類動物はN-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)という糖分子を持っています。(これはレクチンとはくっつきません)
しかし、ヒトは800万年前に霊長類から別れた時にこれを作る能力を失い、Neu5Acを作るようになりました。
牛肉や豚肉はNeu5Gcを持っており、その肉を食べるとヒトの免疫機構はNeu5Gcを異物として認識し、抗体を作り出します。
それが問題でして、Neu5GcとNeu5Acの構造が似ているため、どちらにも抗体が攻撃を仕掛けていくのです^^;
肉より魚がいいというのはこれが理由になります。
お肉と病気についてはこちらの記事も参考にしてみてください↓↓↓
タンパク質摂取について
当サイトでは体重1kgあたり1gがいいよーという話をしています。それが常識くらいに思っていたのですが、この本では意外なことが書かれていました。
体重1kgあたり0.37gのタンパク質でいい
ということです。
体は必須アミノ酸をリサイクルするようにできている。毎食すべての必須アミノ酸を取る必要はないのだ。
さらに複雑なことがある。前記の1日の必要量は、私たちが日々、はがれ落ちた腸壁細胞や粘液からざっと20グラムのタンパク質を再利用していることを計算に入れてないことだ。粘液や腸壁細胞がいずれもタンパク質を含んでおり、免疫が作られた腸壁細胞が死んではがれ落ちるたびに、私たちはそれを消化吸収している。消化機構は実に始末屋なのだ。この再利用計算に入れると、前記のただでさえ少ないタンパク質必要量よりもさらに少なくて良いことになる。つまり必要なタンパク質量とは、驚くほど少ないのだ。p220
意見が分かれそうなところですねー。
タンパク質についてはこちらの記事を参考にしてみてください↓↓↓
おわりに
なかなか興味深い本でした。
ガンドリー博士は心臓外科医で、多くの患者がヘルシーな食べ物を食べ続けているにも関わらず心臓の状態が悪いことに疑問を持ち、その結論としてレクチンがやばいという考えに至りました。
そこで自身のレクチン排除プログラム(プランドパラドックスプログラム)を患者に実践させたところ、効果抜群だったそうな。
レクチンは野菜以外にも、大豆やトウモロコシを食べた家畜の肉にも含まれています。レクチンを抜く食事はなかなか厳しいものがありますが、実践してみる価値はあるかもしれません。
結局のところ、
- 加工食品は食べるな
- 肉や魚は質が良いものを食べろ!
- 豆は発行してる納豆を食え!
という感じですなー。
コメント